東京の地下鉄には、なぜ分かりにくい「乗り換え駅」があるのか:鉄道の「雑学」(2/4 ページ)
首都圏の地下鉄乗り換えは「複雑で分かりにくい」と言われることがある。なぜ、そのような乗り換え駅が生まれてしまったのだろうか。
最も多くの路線が乗り入れている地下鉄駅
東京の地下鉄で最も多くの路線が乗り入れている駅といえば、大手町駅だ。丸ノ内線、東西線、千代田線、半蔵門線、都営三田線が乗り入れており、駅は地下のフロアを変えて井桁(いげた)のようにできている。こちらも混雑しているものの、案内が多いのでそこまで分かりにくくはないといえる。
ここまで挙げた例は、改札を出ることがあっても地下で乗り継げるものばかりだ。地上を通って乗り換え、というものではない。
しかし近年は、地上乗り換えの駅が増えてきている。
「約270メートル」歩く乗り換え駅も
2013年3月に東京メトロ日比谷線と都営地下鉄の岩本町駅が乗り換え駅になって以降、2018年3月に東京メトロ有楽町線の新富町駅と日比谷線の築地駅が乗り換え駅に、同時に東京メトロ日比谷線、都営地下鉄浅草線の人形町駅と東京メトロ半蔵門線の水天宮前駅も乗り換え駅になった。2020年6月には東京メトロ銀座線、丸ノ内線、日比谷線の銀座駅と有楽町線の銀座一丁目駅が乗り換え駅になった。
また、地下乗り換えではあるが、比較的歩かなければならない乗り換えが2020年6月に誕生した。東京メトロ銀座線の虎ノ門駅と日比谷線の虎ノ門ヒルズ駅である。
なお、以前から地上乗り換えの駅として、東京メトロ丸ノ内線と都営大江戸線の本郷三丁目駅、都営浅草線と大江戸線の蔵前駅がある。蔵前駅については、都営地下鉄のWebサイトに「約270メートル」と距離まで書いてあるほどである。
紹介した駅については地上でそれなりの距離を歩かなければならず、公式に乗り換えができると知って、初めて便利に利用できることを知った人も多いかもしれない。一方、それぞれの駅が近いことはふだん利用している人や地元住民は知っているので、地下鉄はそのあたりを踏まえた上で「乗り換え駅」として位置付けたのかもしれない。
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