【徹底解説】インサイドセールスの「9割」をAIとツールで完結する方法:急成長のカギ「インサイドセールス」(2/5 ページ)
AIやセールステック導入の高まりから、最近はインサイドセールスの在り方に変化が起き始めている。筆者は、テクノロジーの進化によってインサイドセールスの業務は9割自動化すると予想している。今後さらにAI活用が進むことが予想される中、人間が担うべき役割はどう変化するのだろうか。
いつ:セールステックで架電タイミングを自動化
誰に何を話すかが決まれば、あとは「いつ」電話するかである。これは米国ではoutreachのようなセールスエンゲージメントツールで自動化されている。「連絡して、つながらなければX日後に架電する」といったタスクが自動生成され、その通りに電話すれば良い。
10社程度であれば、各社に次に電話すべきタイミングを自分の頭で考えられるが、数百社となるとどの会社にいつフォローするべきか分からなくなる。だからセールステックを使って自動化する。日本ではスマートキャンプ社のインサイドセールス管理クラウドサービス「BALES CLOUD」や、Magic Moment社のAI セールスエンゲージメントプラットフォーム「Magic Moment Playbook」が架電タイミングを自動化する機能を有している。
履歴登録:IP電話でデジタルログを残し、生成AIでSFA向け加工
従来、インサイドセールスは手入力でSFAに対話ログを残していた。しかし、これでは入力漏れやサボりが多く発生する。
最新の方法では、架電は全てIP電話経由で行い、ログを残して、そのログを生成AIでSFA用に加工して登録する。
米国の先進企業ではSalesOps、RevOpsと呼ばれる、デジタルツールを活用した営業オペレーション設計専門の職種がある。IP電話ツールや商談分析ツール、生成AI、SFAなどを統合したデータ連携をすることで、SFAの入力をほぼ自動化している。
また、架電内容の要約をデジタルセールスルーム(Digital Sales Room、オンライン上で営業と顧客が商談の情報やコンテンツを共有できる環境)に入力し、顧客に架電内容を共有することもある。
顧客は電話で何を話したか忘れることも多い。電話で話した顧客の悩みや、自社の宣伝をちゃんとデジタルセールスルームに登録し、その後の架電やフィールドセールスに受け渡すときに参考にできるようにする。
これまでの内容を総括すると、「誰に、何を、いつ話して、その結果を登録する」というインサイドセールスの業務プロセスの多くは、AIやセールステックに任せられる。
そうなると、インサイドセールスの職域を、より人でしかできないような深い、広い領域に拡張していかなくてはならない。以降はその未来予測をしていく。
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