目指すはARR100億円超 ラクス「楽楽請求」ローンチの勝算(2/3 ページ)
インボイス制度導入を機に、DXが急激に拡大してきている請求書受領サービス市場。SaaS企業の雄であるラクスも参入を発表した。数年でARR100億円超を目指すという、勝算の根拠とは?
なぜ今、請求書受領に参入?
そうした背景の中、ラスクが請求書受領サービスに参入する。「楽楽請求」の名称で7月1日に販売を開始し、提供は10月1日からを予定する。受け取った請求書をデジタル化するサービスで、紙の請求書をスキャンして一括アップロードしたり、メールに添付されたPDFの請求書をデータ化する機能を持つ。
ラクスが新たに提供を始める楽楽請求の機能概要。受け取った紙やPDFの請求書をデータ化して管理でき、会計システムへの入力を支援するという点では他社のサービスと同様だ。Sansanなどが提供する、請求書の受取を代行するBPOサービスも提供を予定しているという
ワークフロー機能や会計ソフトに登録するための仕訳作成支援機能、インターネットバンキング向けに一括振込データを作成する機能なども備えている。価格は月額3万5000円からと、中小企業でも導入しやすい価格帯に抑えた。
なぜこのタイミングで、請求書受領サービスに参入するのか。そもそもラクスは、経費精算SaaSである楽楽精算のオプションとして請求書受領サービスを提供していた。今回、オプションから単体提供へと位置付けを強化する形だ。
「請求書受領サービスのニーズはあると思っていたが、どれぐらいの課題感があるのか、またどういった課題を解決すればいいのかという知見を蓄積するため、まずオプション機能として提供してきた。その中で、顧客の痛みや、何をやるべきなのかを学び、満を持して今回(サービスを)出した」と、楽楽シリーズの事業責任者である吉岡耕児執行役員は話す。
横展開でぶつかり合う各社
経理向けバックオフィスSaaS市場は、会計、経費精算、請求書(受領、送付)といった特定の分野で地歩を固めた企業が、次第に他領域に進出する形で勢力を広げていくという構造にある。例えば会計からスタートしたfreeeやマネーフォワードは、その周辺領域の機能を拡充することで、勢力を広げていった。
このように出自はそれぞれ異なっても、昨今のトレンドは他領域への進出だ。
SansanのBill Oneは請求書受領サービスから出発したが、Bill One請求で請求書発行分野に、またBill One経費で経費精算分野にサービスを拡大しようとしている。TOKIUMももともと持つ経費精算から請求書受取のTOKIUMインボイスに拡大。昨今はリーガルテックであるTOKIUM契約管理にも幅を広げている。
invoxは請求書受領サービスを主軸としつつ、7月に経費精算サービス「invox経費精算」をリリースした。「invox発行請求書」もスタートしており、「invox電子帳簿保存」と合わせてサービスは4ラインアップに拡大。さらに2サービスの月額基本料金で4サービスも利用できるパック料金の提供も始めるなど、コストパフォーマンスを追求している。
LayerXも急速に領域を広げてきた。請求書受領サービス「バクラク請求書」からスタートし、「バクラク申請」「バクラク電子帳簿保存」「バクラク経費精算」へと拡大。冒頭解説した企業の支払いを全て管理する法人支出管理サービスを目指すとしている。
重なり合うプロダクトを持つ各社だが、強みはそれぞれだ。例えばinvoxは低コスト運営によるコストパフォーマンスの良さを強みとしており、営業コストも大きくかけず導入社数を増加させている。LayerXはAI活用やUI/UXに定評があり、技術系スタートアップなどからは指名で導入されているという。
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