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目指すはARR100億円超 ラクス「楽楽請求」ローンチの勝算(3/3 ページ)

インボイス制度導入を機に、DXが急激に拡大してきている請求書受領サービス市場。SaaS企業の雄であるラクスも参入を発表した。数年でARR100億円超を目指すという、勝算の根拠とは?

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ラクスの競争力 ARR100億円を目指す

 そんな中、複数領域で強力なプロダクトを持つラクスが請求書受領領域に参入した意味は大きい。楽楽精算、楽楽明細、楽楽販売という3本柱に、2023年に買収したサービスを元にした「楽楽勤怠」、そして電子帳簿保存法に対応したストレージサービス「楽楽電子帳簿保存」というのが、現在の楽楽シリーズのラインアップだ。そこに7月1日から楽楽給与明細を追加し、さらに今回の楽楽請求を加えることで楽楽シリーズを強化していく考えだ。


ラクスは経費精算と請求書発行サービスにおいて、社数シェアトップを誇る

 楽楽請求については、2026年3月の中期経営計画の次あたりをターゲットに「ARRは100億円を目指したい」と吉岡氏は意気込む。請求書受領サービスでARRトップを走るSansanのBill Oneは2月時点でARR68億円だ。規模感でいえば、数年でここにキャッチアップするということだ。

 Sansanとラクスは技術面もさることながら、営業力の強さに定評がある。豊富な既存顧客へのクロスセルだけでも、相当数にリーチできる上に、両社ともカスタマーサクセスチームに自信を持つ。競合との差別化を問われ、ラクスの吉岡氏は楽楽請求の営業部隊を立ち上げるほか「カスタマーサクセスのサービス力」を挙げた。

 経理系バックオフィスSaaSは、残されたホワイトスペースを巡って、各社がラインアップを拡大。各社それぞれの強みを生かしつつ、シェア拡大に力を注いでいる。請求書受領サービスは新興ベンダーが多数参入した市場だが、バックオフィスSaaSの雄であるラクスの参入でまだまだ勢力図に異変が起きそうだ。


ラクス 執行役員の吉岡耕児氏(左)とプロダクトマーケティングマネジャーの大群裕太氏(右)

筆者プロフィール:斎藤健二

金融・Fintechジャーナリスト。2000年よりWebメディア運営に従事し、アイティメディア社にて複数媒体の創刊編集長を務めたほか、ビジネスメディアやねとらぼなどの創刊に携わる。2023年に独立し、ネット証券やネット銀行、仮想通貨業界などのネット金融のほか、Fintech業界の取材を続けている。


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