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映画『ルックバック』成功から浮かび上がる、集英社の思惑とはエンタメ×ビジネスを科学する(3/4 ページ)

動員数59万人、累計興行収入10億円を突破した『ルックバック』。同作の成功から、新たなメディアミックスの潮流を読む。

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集英社の新たな試み

 もう1つの特徴が、3つ目に挙げた「読み切り作品のアニメ化と展開方法」であり、本稿で特に着目したい点だ。とはいえ、「読み切り作品のアニメ化」自体は以前から行われており、特段珍しいことではない。

 これまでしばしば行われてきた、読み切り作品のアニメ化は、

  • 同じ作者の別作品によるTV放送枠を用いる
  • DVDとして単行本の特典に加える

 などの形で展開されていた。これらに共通することは、アニメ化された読み切り作品は“従”であり“主”ではなかったことである。

 しかし『ルックバック』の例はそれら従来のやり方とは明確に異なる。つまり“主”であり、それ単体で人を集められるコンテンツとして成立しているのだ。

 なお『ルックバック』よりも一足先に、2024年1月に『ONE PIECE』の作者、尾田栄一郎氏の短編漫画『MONSTERS』がアニメ化され、Netflix・Amazon Prime Videoで配信されている。


『MONSTERS』集英社公式Webサイト

 このように、集英社は自社媒体で一度掲載して人気を博した読み切り作品や、人気漫画家の作品であるにもかかわらず認知度がそれほど高くない作品を「アニメ×配信」という形態で再び世に送り出そうとしている。今後も同様の取り組みは続くだろう。

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