インタビュー
日本一短い航空路線が廃止 「たった10分」のフライトがもたらしてきたもの:ある地方交通の終わり(2/5 ページ)
沖縄県の南大東島(みなみだいとうじま)と北大東島(きただいとうじま)を結ぶ同区間は「日本最短」の航空路線で、直線距離にしてたった13キロメートル。東京都内を走るJR京浜東北線の東京〜蒲田間よりも短い距離である。飛行時間は約10分。
フライトが3分間だった時代も……
翌日の午後、いよいよ南大東空港から北大東空港へと飛び立つ時が来た。DHC-8-400カーゴコンビに意気揚々と乗り込む。ほぼ満席だ。7月の便は連日キャンセル待ちが続いているという。
客室乗務員から離陸のアナウンスがあり、プロペラが高速回転する。飛行機はみるみるうちに加速し、あっという間に機体は浮上した。離陸しておよそ1分後に車輪が格納されて、その時にはもう北大東島が眼前に迫っていた。北大東空港の滑走路も肉眼で確認できる。
このまま空港へ向かうのかと思いきや、北大東島をぐるりと一周してから着陸した。手元の時計を見ると、本当に10分弱のフライトだった。
以前は定員39人の「DHC-8-Q100」という小型飛行機だったため、ダイレクトに空港に入れた。天候にもよるが、その時の最短フライト時間は3分だったというから驚きだ。2018年2月以降は全機がDHC-8-400カーゴコンビになったことで、飛行機の速度が増したため、安全な着陸に向けて上空で態勢を整えるなどの準備が必要になった。そのための旋回だったわけである。
到着後は北大東空港の建物外に出ることはなく、搭乗待合室で20分ほど待ち、先ほどと同じ飛行機に再び乗り込んで那覇へと戻った。こうして日本一短いフライトの旅はあっという間に終わった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
“インバウン丼”と呼ばないで――1杯1万円超の海鮮丼が話題の豊洲「千客万来」、運営企業が漏らした本音
メディアによる切り取った報道に、現地は困惑しているようだ。
セルフレジで客が減る? 欧米で「セルフレジ撤去」の動き、日本はどう捉えるべきか
店舗におけるオペレーションDXは必要不可欠だ。しかし欧米では、セルフレジを撤廃する事例が現れ始めている。その理由を探ると、DXの本質が見えてくる。
千葉のキッザニアっぽい施設「カンドゥー」 存続の危機から一転、過去最高の来場者数に どう立て直した?
幕張豊砂駅を出てすぐに、キッザニアによく似たパーク「カンドゥー」はある。慢性的な赤字体質を抜け出せたのはなぜか?
ニコニコ障害で「仮」サイト好評 往年ネット民が“失って気付く”価値
ニコニコ動画は大規模なサイバー攻撃によってサービス停止を余儀なくされた。しかし、この事件によってユーザーが気づいた価値もある。
「オーバーツーリズムは“悪化”している」 星野リゾート社長が感じた危機感




