インタビュー
日本一短い航空路線が廃止 「たった10分」のフライトがもたらしてきたもの:ある地方交通の終わり(3/5 ページ)
沖縄県の南大東島(みなみだいとうじま)と北大東島(きただいとうじま)を結ぶ同区間は「日本最短」の航空路線で、直線距離にしてたった13キロメートル。東京都内を走るJR京浜東北線の東京〜蒲田間よりも短い距離である。飛行時間は約10分。
最短フライトならではの大変さも
那覇空港に着くと、すぐさまRACのオフィスへ。同社乗員部 客室乗員室主任の天河千晶さんにインタビュー取材をするためだ。
天河さんは2010年1月入社して以来、一貫して客室乗務を担当。数年前には教官として後進指導の役割も担っていた。南大東〜北大東には累計260回以上は乗務しているという。
まず尋ねたのは同路線での業務内容。最短フライトだからといって特別な仕事が発生するわけではないが、他路線との違いとしては、シートベルトのサインが出発から到着まで点灯したままであることや、飲み物のサービス提供がないこと。三角運航路線は客室乗務員一人による“ワンオペ”だったが、これはRACの全路線に該当する。「日ごろから慣れていて問題ない」と天河さん。
だからといって、南大東〜北大東は業務負担が少なく楽なのかといえば、決してそうではない。離陸から着陸まで約10分間しかないため、息つく暇はなく、逆に慌ただしくしているそうだ。
この路線に初めて乗る客の反応で多いのは、「離陸後10分で着きます」とアナウンスすると、笑いや驚きの声が起こること。確かにここでしか聞けないアナウンスだろう。ただし、天候不良などには20〜30分かかることもある。その時は「今日はちょっと遠いなと感じますね」と天河さんは述べる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
“インバウン丼”と呼ばないで――1杯1万円超の海鮮丼が話題の豊洲「千客万来」、運営企業が漏らした本音
メディアによる切り取った報道に、現地は困惑しているようだ。
セルフレジで客が減る? 欧米で「セルフレジ撤去」の動き、日本はどう捉えるべきか
店舗におけるオペレーションDXは必要不可欠だ。しかし欧米では、セルフレジを撤廃する事例が現れ始めている。その理由を探ると、DXの本質が見えてくる。
千葉のキッザニアっぽい施設「カンドゥー」 存続の危機から一転、過去最高の来場者数に どう立て直した?
幕張豊砂駅を出てすぐに、キッザニアによく似たパーク「カンドゥー」はある。慢性的な赤字体質を抜け出せたのはなぜか?
ニコニコ障害で「仮」サイト好評 往年ネット民が“失って気付く”価値
ニコニコ動画は大規模なサイバー攻撃によってサービス停止を余儀なくされた。しかし、この事件によってユーザーが気づいた価値もある。
「オーバーツーリズムは“悪化”している」 星野リゾート社長が感じた危機感
