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タカラトミーの“出産祝い金200万円”はなぜ実現したのか 「子育て支援だけではない」改革の全体像とは?(2/2 ページ)

 タカラトミーが7月から導入した、「出産育児祝い金」として社員に200万円を支給するという新制度。担当者は「あくまで人事制度改定の一部」にすぎないと話すが、一体どのような位置付けなのか。背景と狙いを聞いた。

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 それにしてもインパクトのある金額だが、原資はどこから出しているのか。注目すべきは、同時に実施された「ジョブ型人事制度」への改定だ。社員の等級制度や評価制度を、結果・成果や成長促進を重視する形式に改めた。これにより、初任給を月額にして約1万円(4.3%増。4年制大学卒の場合)上げるなど、等級ごとの報酬を改定。

 代わりに仕事の成果とはかかわりの薄い、「世帯手当」や「子手当」といった属人的な手当てを廃止し、基本給や賞与、祝い金に反映させた。中村氏が「ジョブ型人事制度」と「両立支援制度」を、一連の改定の「両輪」と強調するゆえんだ。

 200万円という金額を定めるにあたっても「議論はあった」というものの、旧制度で支給されていた子手当の総額などを根拠に「理論づけて通しています」と中村氏は話す。こうして決まった今回の制度改定は、導入前に社員に行われたヒアリングでも、おおむね好評を得たという。

サポートする社員にも手当、「制度化はこれから」

 また、併せて試験的に導入したのが、業務をカバーする社員への「休業・短時間勤務応援手当」だ。これまでも育児休暇・介護休暇の取得や時短勤務を推進してきた同社だったが、人員補充が必ずしも追いつくわけではなかったことから、「周りに迷惑がかかる」として、本人の心理的負担につながってしまう実情が少なからずあった。

 また、問題がより深刻なのが、介護と仕事の両立に悩む社員のケースだという。「家族が介護状態になってしまうのは突然ですし、いつまで続くのか分からない不安がある。育児に比べて計画的に調整ができず、『お互いさまでは済まない』という声が上がっていました」

 こうした状況も後押しし、同社は休業・短時間勤務を選択する社員本人だけでなく、周囲の社員への手当の給付を開始。原資には休業に伴って減額となる分の、社員の給与の約3割を充てる方針だ。

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社員の子どもを招待する「ファミリーデー」も実施している(画像はタカラトミー提供)

 祝い金200万円の給付対象となる社員はまだ発生していないというものの、社員の家族やメディアからの反響は大きい。中村氏は「こんなに影響力があるとは」と驚きを見せつつも、「今はまだチューニングの期間」だと話す。

 「特に応援手当については運用が回るのかどうか。現在は試験導入のため、今後制度化できるかが課題です。後はやはり活用してもらいたいので、社内でも周知して正しく理解してもらい、制度を必要な人がすぐ使えるように整えていきたいです」

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