セイバンの「ひんやり背あてパッド」前年比4倍 開発のきっかけは小学生の“陳情”(4/4 ページ)
ランドセルメーカーのセイバンが展開する「ひんやり背あてパッド」が前年に続き、好調だ。気温35度を超える猛暑日が続く中、熱中症対策への関心が高まり、より冷却効果の高い製品への需要が増加している。
たつの市に続き、静岡県焼津市も配布を実施
小学生からの陳情があった兵庫県たつの市では、2023年度予算に847万円を計上し、市内の全児童に「ひんやり背あてパッド」の配布を実施した。続いて2024年には、静岡県焼津市でも配布が実現。「たつの市での配布に関する報道を担当者がご覧になり、昨年の段階から話があった」(香川さん)
また、たつの市では、2024年度の新入学児童への対応も行っている。新1年生向けに配布する入学者用セットの中に「ひんやり背あてパッド」も含まれていたという。
現状での課題は、冷却効果をいかに持続させるかだ。香川さんは「朝から夕方まで冷たさを保つのは非常に難しい。特に帰りのほうが暑い中を帰宅することを考えると、ここが大きな問題」と指摘する。
この課題に対し、たつの市では学年ごとに冷凍庫を設置し、朝に預けて帰りに取り出すようにするなど学校単位で対策を行なっているという。同社は「学校側に一任してしまっている点は改善の必要がある」と考える。
今後は、背中以外に肩ベルトなど肌に触れる部分を冷やす方法や、ランドセル本体の軽量化も熱中症対策の一環として考慮している。また、他の自治体への展開も積極的に進めている。「少しでも快適に通学していただけるよう、自治体への働きかけも並行して行っている」(香川さん)
「ひんやり背あてパッド」は、自治体での採用拡大や製品改良の継続など、今後の展開にも注目される。セイバンの取り組みは、猛暑における児童の安全確保と企業の社会的責任の両立を示す好例となりそうだ。
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