コンビニポイント戦争勃発 セブンVS.ローソン、業界の勢力図はどうなる?:「ポイント経済圏」定点観測(2/5 ページ)
クレジットカード会社と通信大手による新たなポイント経済圏競争が激化している。大手コンビニチェーンを巻き込むことで、未来はどうなる?
セブン、Vポイント採用で業界地図に変化
三井住友カードは10月15日から、セブン-イレブン・ジャパンと提携し、スマホによるタッチ決済で最大10%のポイント還元を始める。これは単なる高還元サービスの開始にとどまらず、業界の勢力図を塗り替える可能性を秘めている。
これまでセブンは、独自のポイントシステムであるセブンマイルを採用し、共通ポイントへの対応を避けてきた。一方、ライバルのローソンはPonta、ファミリーマートは楽天ポイントやdポイント、Vポイントと提携するなど、大手共通ポイントを積極的に導入してきた。
今回の提携により、セブンの顧客は実質的にVポイントをためる手段を得ることになる。利用者はセブン-イレブンアプリの会員コードを提示し、三井住友カードのスマホタッチ決済で支払いを行うと、9.5%のVポイントが付与される。さらに、セブンマイルをVポイントに交換することで、還元率が最大10%となる。
三井住友カードの大西幸彦社長は「スマホのタッチ決済の便利さを実感いただくことで、さらに利用が広がると期待している」と話す。同社によると、セブンでの三井住友カードによる決済の約5割がすでにスマホのタッチ決済だという。
この高還元率サービスには期間の定めがない。三井住友カードのマーケティング本部長、佐々木丈也専務執行役員は「一時的なキャンペーンということではなく、両社の中長期的なキャンペーンとして実施するもの」と説明する。
今回の提携は、セブンの戦略に大きな転換をもたらす。これまで独自路線を貫いてきた同社が、大手共通ポイントとの連携に踏み切ったことで、コンビニ業界におけるポイントサービスの勢力図が大きく変わる可能性がある。
セブンとVポイントの連携は、両社にとって大きなメリットがある。セブンは全国約2万1000店舗の巨大な店舗網を持ち、Vポイントは国内約8600万人の会員を抱える。この組み合わせにより、両社は顧客基盤の拡大と購買データの獲得を見込めることになる。
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