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コンビニポイント戦争勃発 セブンVS.ローソン、業界の勢力図はどうなる?「ポイント経済圏」定点観測(5/5 ページ)

クレジットカード会社と通信大手による新たなポイント経済圏競争が激化している。大手コンビニチェーンを巻き込むことで、未来はどうなる?

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ポイント経済圏の拡大と各社の思惑

 今回のコンビニ業界を舞台としたポイントサービス競争の激化は、通信、金融の垣根を越え、小売りが経済圏の重要なピースになってきたことを示唆している。KDDIとローソン、三井住友カードとセブンという異業種連携の加速は、単なるポイント還元の域を越えた意味を持つだろう。

 最後に、今回の発表で興味深かった点を3つほど挙げておきたい。

 1つは三井住友カードとセブンの10%還元は上限ではないということだ。三井住友カードはセブンなどの特約店において、タッチ決済での7%還元に加え、家族を登録すると+5%、Oliveの各サービスを利用することでさらに+8%の合計20%まで還元率が拡大していた。

 今回、タッチ決済での還元率が10%に引き上げられるが、家族登録やOliveによる上乗せも有効。ただし合計は最大20%還元までだという。


2025年1月1日からは、対象のコンビニ・飲食店での、プラスチックカードのタッチ決済の還元率を見直す(出典:三井住友カード)

 2つ目は三井住友カードによるプラスチックカードの還元率引き下げだ。同社は2025年1月から、プラスチックカードのタッチ決済の還元率を5%から1.5%に引き下げる一方で、スマホによる決済の還元率を高く維持する。佐々木氏は「プラスチックカードを持ち歩くわけでもなく、スマホでタッチする時代になってきている」と話す。

 スマホのタッチ決済は生体認証による本人確認が行えるため、認証なしで使えてしまうプラスチックカードのタッチ決済に比べてセキュリティが高い。クレジットカードの不正利用は年々増加しており、その対策の一つと考えられる。

 3つ目は、セブンのVポイント採用の裏側だ。三井住友カードは裏側でVポイントとセブンマイルのIDを連携させているため、システム的にはタッチ決済だけでセブンマイルをためられる環境にある。しかし、実際の運用では顧客が店頭でセブン-イレブンアプリを開き、バーコードを提示する必要がある。

 この方式には2つの狙いがあると考えられる。1つは、セブン-イレブンアプリへの接触機会を確保し、クーポンなどの販促を行う余地を残すこと。もう1つは、直接Vポイントがたまる形式ではなく、いったんセブンマイルをためてVポイントに変換する仕組みを採用することで、セブンが完全にVポイント陣営に属することへのためらいを示している可能性だ。

 これは、セブンが長年守ってきた独自路線と、共通ポイント採用による顧客利便性向上の狭間で揺れる姿とも解釈できる。同社が今後、Vポイントとの関係をどこまで深めていくかは、業界全体の勢力図に大きな影響を与える可能性がある。

筆者プロフィール:斎藤健二

金融・Fintechジャーナリスト。2000年よりWebメディア運営に従事し、アイティメディア社にて複数媒体の創刊編集長を務めたほか、ビジネスメディアやねとらぼなどの創刊に携わる。2023年に独立し、ネット証券やネット銀行、仮想通貨業界などのネット金融のほか、Fintech業界の取材を続けている。


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