「謎」が多い楽天のメッセージングアプリ LINEに代わる存在になるのか、本部を直撃した:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
日本で欠かせないメッセージングアプリはLINEだが、世界では、日本の楽天が提供する「Rakuten Viber」の利用者が多い。日本ではなじみがないが、さまざまな機能を持つスーパーアプリとして使われている国もある。どのようなアプリなのか、運営企業に聞いた。
「スーパーアプリ」として根付いている国も
――そもそもの質問で申し訳ないですが、Viberというのはいったいどこの会社なんですか?
Viberは、2014年に楽天に買収されました。2021年には、楽天の一部門で4000人の従業員を擁する楽天インターナショナルの管理下に入っています。楽天インターナショナルは北米、欧州、中東に本社を置いて事業を展開しています。
Viberは「Rakuten Viber」というサービス名で運営されており、本部のあるルクセンブルクで法人化されています。イスラエルの首都テルアビブ、ブルガリアの首都ソフィア、フランスの首都パリ、スペインのバルセロナ、ルクセンブルク、英国の首都ロンドン、ジョージアの首都トビリシ、ウクライナの首都キーウ、シンガポール、東京など、世界中で約550人のチームメンバーが在籍し、世界各地にオフィスを構えています。
――世界で展開しているわけですね。実際にメッセージングアプリの世界事情を見てみると、Viberはランキングに入るほど利用者は多いですね。
現在、Viberは世界で最も信頼されているアプリの一つになっており、ダウンロード実績は10億件以上で、190カ国以上にユーザーがいます。創業以来、当社のビジョンは変わっていません。それは、各国の事情に適したグローバルなアプリとなることです。現在、Viberはギリシャやフィリピンを含むいくつかの国々で、スーパーアプリ(メッセージだけでなくいろいろなサービスや機能を持つアプリ)となっていて、家族や友人など人々を結び付け、企業とコミュニケーションも取れるようになっています。
――世界で知られているのはよく分かりましたが、日本企業の楽天という社名が付いた日系のアプリなのに、なぜ日本ではあまり知られていないのでしょうか?
日本は魅力的な市場で、日本国内のユーザーや企業への認知度を高めていく予定です。電子書籍事業「楽天Kobo」と同様に、私たちは新しい市場に対応するために、多言語対応と地域密着型の手法を採用しています。Viberの利用率が低い市場で、より認知度を高めるために努力していまして、アジアには専任のチームがあって成長を続けています。
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