「謎」が多い楽天のメッセージングアプリ LINEに代わる存在になるのか、本部を直撃した:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
日本で欠かせないメッセージングアプリはLINEだが、世界では、日本の楽天が提供する「Rakuten Viber」の利用者が多い。日本ではなじみがないが、さまざまな機能を持つスーパーアプリとして使われている国もある。どのようなアプリなのか、運営企業に聞いた。
セキュリティ面はどうなっているのか
――メッセージングアプリは毎日のようにビジネスやプライベートで使うものなので、やはりセキュリティがきちんと構築されているかが気になります。Viberのセキュリティは正直なところ……大丈夫ですか?
Rakuten Viberは高度なセキュリティを核として構築されています。欧州の消費者団体シュティフトゥング・ヴァーレンテストによると、Viberがセキュリティ部門でトップ3のメッセージングアプリに格付けされています。その理由は、1対1のメッセージから音声通話、ビデオ通話、および全てのプライベートなグループメッセージで、エンドツーエンドの暗号化をデフォルトで有効にしているからです。
基本的に、私たちはプライベートな会話はプライベートであるべきだと考えています。ユーザーのプライバシーを保護するため、メッセージは配信後、われわれのサーバから削除されます。弊社ではユーザーのコミュニケーションを閲覧したり追跡したりすることはできません。つまり、プライベートな会話を第三者に共有することは決してないということです。
――確かに、安全と言われる他のメッセージングアプリのアピールポイントも暗号化ですね。やはり個人的なメッセージを他人に見られるのは気持ち悪いですから。
1対1のチャットでは、指定した時間が経過した後に自動的にメッセージが消滅される機能も提供しています。加えて、サーバとの接続には全てHTTPS(暗号化通信を使って、Web情報を送受信する仕組み)を使用し、ユーザーや企業間の全てのチャットにおいて通信中の暗号化を行い、メッセージが送信されると同時に暗号化、宛先に届くまで暗号化を維持しています。
さらに、発信者番号通知機能により、ユーザーはスパムメールから保護され、重要な電話を簡単に識別できます。受信者の番号が不正行為に悪用されていないことを確認できる「高度な保護メッセージ」の機能も展開しています。これは、金融機関や機密情報を扱う企業にとって特に有用です。
――スーパーアプリになっている国があるとのことですが、欧州などで普及しているアプリユーザー間での支払いもできるのですか?
私たちが提供する「Viber Payments(リアルタイム送金サービス)」は、一部の国で提供しているサービスで、Viberユーザー間で送金ができます。送金に関する全ての業務は、アイスランド中央銀行の認可および規制を受けるフィンテック企業「Rapyd」によって安全に管理されています。Rapydは、欧州の規制要件である「セーフガード」と呼ばれるプロセスに準拠しており、ユーザーの資金はEU銀行の専用口座で安全に保管されます。
最近、米国公認会計士協会(AICPA)が策定した監査基準を取得しました。 この厳格な枠組みは、顧客データのセキュリティ、可用性、機密性、プライバシーを確保するために設計されており、当社の情報セキュリティに対する積極的な取り組みと、最高水準のデータ保護維持に対する献身を証明するものです。
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