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赤字転落のヴィレッジヴァンガード 苦境の原因は「サブカル不調」「人材不足」だけとは言い切れないワケ小売・流通アナリストの視点(4/5 ページ)

ヴィレヴァンが2024年5月期決算で赤字転落を発表すると、「ヴィレヴァン経営の失敗?」といった記事が散見されるようになった。「独自性が失われた」「店づくりができる人材が減ってしまった」といった論調が中心だが、果たして問題はそれだけなのだろうか?

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イオンモールへの出店は実際どうだったのか

 では、店舗数を急増させた時期に、地方のショッピングモール(主にイオンモール)に大量出店した店舗は、ヴィレヴァンに禍根を残したのだろうか。実際にピーク時である2013年度の地域ごとの店舗配置と、直近期の配置を比較してみた。これはピーク時に比べて生き残った店の割合を示しており、どのエリアで客離れが大きかったかを知ることができる(図表4)。

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【図表4】ヴィレッジヴァンガードIR資料より著者作成

 もともとの地元エリアである中部の残存率は9割以上と高いのは置いておこう。それ以外で分かるのは、関東、近畿の大都市圏の減少率が高く、北陸、東北、九州といった遠隔地の残存率が高い、という意外な結果だった。

 オールドファンからは「全国のイオンモールに出店したこと自体がヴィレヴァン変質の元凶」との批判もあるが、地方における中高生などのサブカル初心者の開拓には一定の効果があった、という評価もできるのではないだろうか。逆に、そのまま大都市中心で展開していたら、業績はもっと早いタイミングで厳しい局面に追い込まれていたことが想定できる。もっとも、そんなに急拡大しなければいいという意見もあろうが、上場したため後戻りできなかったのだろう。

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