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「電子レンジバッグ」がヒット “布自体”が発熱、開発のきっかけは「息子への愛」:テストマーケティングから見るプロダクトの近未来(2/2 ページ)
Makuakeでヒットしている「電子レンジバッグ」。この商品が生まれたきっかけとは?
開発のきっかけは「母の優しさ」
この商品を開発したWILLTEXという企業は家電メーカーではなく、少人数で運営している繊維製品メーカーです。
開発のきっかけは、同社CTOの上田彩花氏の「息子への愛」にありました。野球をしている息子にあたたかい食事を食べさせてあげたいものの、遠征先に弁当を持っていくうちにどうしても冷めてしまいます。こうした悩みに対して、上田氏は繊維業界出身だったため、“繊維自体を発熱させる”という発想に至りました。
開発にあたって素材を探しているうち、三機コンシスという空調工事会社が開発した布に出会います。繊維自体が発熱するというその布は、通常の布と同じ柔軟性・軽量性を持ちながら、素早く均一なあたたかさを実現する、特許技術を取得した素材でした。この布素材を採用し、WILLCOOKが生まれました。
WILLCOOKの躍進は、繊維のプロだからこそ生まれた独自の視点と、母という「N=1」の体験が結びついた好例といえるでしょう。自分たちの企業が持っている技術力を、ごく個人的な実体験と掛け合わせることは、思わぬイノベーションを起こすヒントになるかもしれません。
著者プロフィール:高野翔一
株式会社マクアケ PR部コーポレート広報
1984年生まれ。大手食品メーカーの営業やPR会社などを経験。PR会社では大手テーマパークをはじめ、さまざまな領域のPRを担当。2022年に株式会社マクアケへ入社。入社後は、コーポレート・サービス広報として携わりつつ、モノづくりを始めとした事業者の挑戦を後押しする広報を主に担当。
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