AIには答えられない「問い」がある――社会人が磨くべき「3つの能力」とは?:問いの設定力(2/4 ページ)
本記事では、グロービスで動画学習サービス『GLOBIS 学び放題』の事業リーダーを務める鳥潟幸志氏が著書『AIが答えを出せない問いの設定力』をもとに、「AIが答えを出せる問いと、出せない問いの違い」や「これから人に求められる3つの能力」について解説する。
AIの得手・不得手を「4つの視点」で整理すると……
AIが答えやすい問いと答えにくい問いについて、いろいろな視点で整理が可能ですが、ここではシンプルに「4つの視点」で整理します。
【1】選択肢or意思の視点
AIは、どのような考え方があるかなど選択肢を求める問いはスピーディかつ網羅的に答えを出してくれますが、自分自身が決める必要があるもの、そもそも自分の意思に関係する問いは答えを出してくれません。自分自身に問いかけ、自ら答えを導く必要があります。
【2】過去or現在の視点
過去の膨大なテキストデータを読み込んでいる生成AIは、過去の情報やある場面で何があったのか? という問いへの、もっともらしい回答が得意です。一方で、現実社会で何が起きているのか、その状況を踏まえてどのような判断をするべきかという類の問いには、現時点での技術レベルでは対応が難しいといえます。
【3】理想の設定についての視点
AIは複数の条件を設定し、その範囲内での選択肢を提示することが可能ですが、ゼロベースで理想を生み出すことは、現時点では難しいと考えます。理想は人によって千差万別であり、最終的には主観的・直感的に生み出されることが多いからです。
【4】論理or情理の視点
生成AIはあくまで入力された内容を踏まえて回答を抽出するので、論理的なアウトプットには強いですが、相手の感情に配慮した表現までを生成するのは難しいと考えられます。相手の感情を主体的に読み取り、それを踏まえたコミュニケーションへと変えることは現時点ではできません。
先ほどChatGPT4oを使って紹介した事例は、状況を理解した上でのコミュニケーションという点では【3】が、そして、相手の感情を読み取る必要があるという点では【4】の視点で、AIが苦手とするものだったといえるでしょう。
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