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NHK、34年ぶり赤字の原因はどこにある? ネトフリと比べて分かる“いびつ”な構造(5/6 ページ)

NHKが34年ぶりに赤字になったとして話題になった。赤字の原因を見ていくと、いびつな構造が明らかになる。

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NHKと対照的なBBC

 厳しい状況のNHKと対照的なのがBBCだ。BBCはNHKと同じく、「広告収入」を得ない代わりに、BBC Studiosなどの商業部門で番組の権利を販売するなどして、国際市場からの収益を確保している。

 そして、BBCのオンデマンド配信「iPlayer」も英国内で定着しており、デジタル化に対応するとともに多角的な収益構造を持つことに成功している。

 例えば、BBCの人気番組『ドクター・フー』や『シャーロック』は、世界中で視聴される収益源となった。そして、収益以上に重要な観点がもう一つある。

 それは、BBCが自国の国境を超えて人気コンテンツを提供することで、「英国文化の発信」という公共放送の存在意義を果たしているということだ。現状、NHKの国際展開はNHK Worldを通じて行われているが、国際的影響力は限られ、また収益源としての役割も弱い。

 対して、BBCはその運営方針において独立性を強調し、視聴者から広く支持されている。BBCのニュースやドキュメンタリーは、世界的にも公平性が評価されており、国際的な報道の場面で信頼できる情報ソースとして引用されることも珍しくない。

 NHKも独立性を強調するが、今年8月には、ラジオの放送原稿を読み上げていた中国籍の外部スタッフが、中国語で「釣魚島と付属の島は古来、中国の領土です」などと発言したとして契約解除されるという、前代未聞の不祥事が発生したばかりだ。

 また、NHKは公共放送としての使命を果たすため、災害時の迅速な情報提供や教育コンテンツの充実に努めているが、その意義は国内市場に限定されがちだ。

 公共放送の目的が日本国内における情報提供や教育、文化継承にとどまっている現状を打破し、国際的な視点を持って正確かつ信頼できる情報を発信する体制も、より一層強化していくべきではないか。

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