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「おもちゃメーカー」が台湾有事のカギを握る? 日本企業に必要な危機感:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
世界の紛争において、ドローンが重要な役割を担うようになった。警戒されている台湾有事を見据え、台湾ではおもちゃメーカーが全て台湾製の軍事ドローンを製造。ドローンによる応酬も始まっており、日本の防衛産業も国産製品を支援するなどの対応が必要だろう。
部品も全て「台湾製」
サンダータイガーのドローン製品のもう一つの特徴は、完全に台湾製であり、中国製の部品を一つも使っていないことだ。中国が販売する部品は「レッド・コンポーネント(部品)」などと呼ばれており、サンダータイガーはそんなレッド部品を完全に排除している。
言うまでもないが、台湾は近年、中国との有事を見据えて厳戒態勢を敷いている。通信関連製品でレッド部品などを使うと、有事の際に中国側がリモートコントロールで不具合を生じさせるかもしれないし、部品の調達などでスパイ工作が入り、台湾側の手の内が把握されてしまう可能性もある。
さらに台湾は米国政府とも協議しており、自爆型ドローンを大量に米国から調達することになっている。国産のサンダータイガーのみならず、価値観を共有する米国などからもドローンを入手する。
台湾国防省は、10月に入り、サンダータイガーのドローンの試験導入を急ピッチで進めている。というのも、台湾政府にはゆっくりしていられない理由がある。台湾周辺で中国による挑発的な演習などが行われているからだ。2023年8月には、中国軍のドローンが台湾を取り囲むように飛来したり、台湾の北東部空域などにドローンが侵入したりするケースもあった。台湾の離島である金門島でも、中国からドローンが飛来して、ビラをばらまいていくという事件も起きている。
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