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NEC森田社長に聞く「2025年の投資戦略」 BluStellarとDX人材活用はどうなる?(2/2 ページ)

2025年度は中期経営計画(中計)の最終年度だ。2025年、NECはどのように変わっていくのか。その方針を森田隆之社長に聞いた。

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幹部にも“出戻り”人材 人手不足をどう補うか?

――ジョブ型雇用が浸透し、カムバック採用なども進めています。どういった業種や業界、年齢の人が戻って活躍していくのか、また今後の課題について教えてください。

 思った以上に出戻りが多い印象です。最近、デジタルガバメント・デジタルファイナンスビジネスユニットの出戻り社員と会いましたが、その社員は20年前にM&A関連業務で法務を担当していた方でした。

 幹部も含めてあらゆる領域で戻ってきてくれています。執行役では、松本康子CAO(最高監査責任者)も出戻りであり、社外で上場会社の役員を経験後にNECに戻ってきました。「AIやセキュリティの開発をしたい」と言って戻ってくるエンジニアもいます。今後、ジョブ型の人事制度をグループ会社へも展開していくので、これをテコにしてさらなる制度の充実を図っていきます。

――業績が良くても早期退職を募る企業も出ています。NECの人材への考え方は?

 異業種間での人材獲得競争はますます激しくなってくると思います。例えばわれわれの業種で見た時、コンサル企業との人材の奪い合いもあり、外資系の企業もかなり多いです。報酬体系も非常に競争が激しいものになっています。そういった中で人材の奪い合いの状態になっています。

 AI、セキュリティなどのDX人材になると、同業他社だけでなく、金融機関や製造業などもこうした人材を必要としています。今までと違う人材に対する考え方をとっていかなければなりません。人材マーケットも、日本も徐々にではあるものの流動的になってきています。個人のキャリアに対する考え方も、過去の「就社」ではなく、自分でキャリアを作っていく考え方を持つ若い人が、本当に増えています。

 そういった向上心ある才能に対して、魅力のある職場やキャリアを積める環境や、報酬なども含めて競争力があるものを作っていくことが絶対に必要です。これからの社会を考えると、どの企業にとっても必要になっていくと思います。

人手不足をどう補うか

――来年度の人材投資について教えてください。

 今年も採用は、本体のみで新入社員が700人超、グループ会社を含めると1300人ほどになります。中途採用も継続していて、人材の増強は継続的に進めています。またこの2年ほどは、教育やリカレント関係への投資も増やしています。教育制度や教育投資にも力を入れていて、これからもその部分については充実させていきたいと思っています。

 ジョブ型については、需要の高いタレント人材に対して、社内外に向けて訴求力を上げていきたいと思っています。特にAIやセキュリティ領域における人材については、グループ全体でジョブ型の考え方を合わせていき、人の流動化を高めて組織力を高めていきたいと考えています。

――賃上げについても、考えがあれば聞かせてください。

 物価も高くなっている状態の中で、実質的な賃上げになるような形で答えていくのは、企業としての責務だと思います。労働市場は、今後も流動化していくでしょう。われわれもさまざまな企業、外資系企業や異業種にあたる企業まで、優秀な人材の獲得競争にさらされています。

 マーケットに基づく報酬を実現する必要があります。でなければ、競争力がなくなってしまいます。そうなると会社として一律の報酬体系ではなく、社内でも職種や業務内容に基づいて割り当てていくことになると思います。全体としてみると、他企業に対して競争力のある形で、より魅力的な賃上げを実現していきます。

――AIやセキュリティの分野では、人材獲得の面からもM&Aを行う動きが盛んです。何か具体的にM&Aなどを考えていることがあれば教えてください。

 まさにBluStellarの領域ですね。この領域についてみると、グローバルを対象にしないといけません。デジタル・ガバメント、デジタル・ファイナンス領域の買収はマーケットや企業の顧客ごと買収することになります。

 一方でセキュリティやAIの領域は、どちらかと言うとテクノロジーの買収になります。(自社で製造する「Make」と、外部から購入する「Buy」の2つの選択肢を比較する)Make or Buyで自社開発するのが良いのか、買ってきた方が良いのかを選択する領域になると思います。その意味では、われわれとしては巨大な買収をするよりは、ベンチャーなども含めた研究開発の一環としてM&Aを考える領域になります。

 実施しても3桁(けた)億円規模ではないでしょうか。優先順位としてはそれほど高くありません。そういう場合には、まず業務提携から考えていくことになると思います。

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