「青春18きっぷ」大ブーイング やっぱり、新ルールは改悪か 利用者の本音とJRの狙い:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/6 ページ)
JRグループが11月26日に「青春18きっぷ」の冬版を発売する。今回からルールが大きく変わり、従来からのユーザーに概ね不評だ。しかし商品を改定する理由は「そのほうが売れるから」「そのほうが利益につながるから」である。利用者目線で改悪であっても、サービスの提供側に利点があるはずだ。
杉山淳一の「週刊鉄道経済」:
本連載は、鉄道業界の最新動向をビジネスの視点で分析し、その魅力や課題を掘り下げている。鉄道が経済や社会に及ぼす影響を多角的に考察し、多様なテーマを網羅。業界に関心を寄せるビジネスパーソンにとって、実践的かつ興味深い情報を提供している。
JRグループは2024年11月26日に「青春18きっぷ」の冬版を発売する。販売終了は3日間用が2025年1月6日で、5日間用が2025年1月8日。利用期間はどちらも2024年12月10日から2025年1月10日まで。冬休みの小さな旅や帰省で使っている人にとって、普通列車専用とはいえ、長距離を安く移動できてありがたい切符だ。
しかし、今回からルールが大きく変わった。過去に利用したことがある人は、昨年までのような使い方はできない。
- 「バラ使い」ができなくなった。
前回までは「5回」利用できた。つまり利用期間中の「任意の5日」を選べた。例えば、12月14日に1回分で日帰り、21〜22日に2回分で往復、27日に故郷へ帰省して、1月6日に帰ってくる、といった具合だ。今回からこの使い方はできない。5日間連続使用、3日間連続使用の2種類になって、1日単位のバラ使いはできない。
バラ使いができないから「2名以上が同一行程で使用」もできない。「2名が1回分ずつ使って1日利用して合計2回分を消費し、残り3回分を1人で使う」もダメだ。切符を買った本人が、5日間連続、または3日間連続で使える。5日間連続用が1万2050円で前回までと同額。新たに設定された3日間連続用が1万円だ。
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