コラム
「牛丼500円時代」の幕開け なぜ吉野家は減速し、すき家が独走したのか:差を広げた“判断”の差(4/7 ページ)
牛丼の価格戦争――。この言葉を目にすると「懐かしいなあ」と感じる人も多いかもしれないが、いまや「500円時代」の足音が聞こえてきた、といったところでしょうか。牛丼チェーン3社の業績を見ると、明暗がわかれているようで。
BSE後頭一つ抜けたのが、すき家のゼンショー
日本における米国産牛肉の輸入規制と、その後の規制緩和を経て、吉野家はBSE発生から約1年半後に牛丼を再開しました。しかし、営業利益率はBSE前の水準には遠く及ばず、吉野家単体で2005年度と2006年度は2〜3%台に、吉野家HDとしても2%台という低水準となりました。
一方、すき家と松屋は、BSEに対して迅速な対応を行っていました。すき家はすぐにオーストラリア産牛肉に切り替え味付けを変更し、松屋は豚丼などの代替品を提供し、その後オーストラリア産牛肉で対応するなどしていました。
こうした柔軟な対応により、吉野家よりも牛丼を早く提供でき、それが功を奏したのか、松屋フーズHDは2005年度の営業利益率は6.5%。BSEより前の水準には戻ってはいないものの、吉野家よりも数字を戻すことに成功しています。
ここでも頭一つ抜けていたのが、すき家のゼンショーHDでした。ゼンショーHDの営業利益率は、2005年度に7.3%にあがっています。BSE発生後、迅速にオーストラリア産牛肉への切り替えを行い、牛丼の販売を継続したこと。
それにより、お客はすき家に流れ、売り上げを拡大できました。また、牛丼以外のメニューも充実させ、多様な顧客のニーズに応える姿勢をみせたことも功を奏したと考えられます。
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