生クリーム9割の「スイーツ缶」、なぜ人気? がむしゃらに売らず30万缶突破の秘密:商品名「なまくり」(3/5 ページ)
9割が生クリームでできたスイーツ缶「なまくり」がじわじわと人気を集めている。わずか2年半で販売数は30万缶を超えているが、どのように人気を広げたのか。
実は「生クリーム」の味を知らない人は多い
今でこそ人気を得ている「なまくり」だが、9割が生クリームのスイーツと聞くと「食べきれない」と思う人も多いかもしれない。なぜ井上氏はこのような商品を開発したのか。
「僕は幼いころから生クリームが大好きだったのですが、数年前に北海道産の高品質な生クリームを食べたとき、『生クリームってこんなにおいしいのか』と感動したんです。同時に、多くの人は“本当の生クリームのおいしさ”を知らないのではないかと思い、気軽に高品質な生クリームを食べられるスイーツをつくろうと思いつきました」
筆者も含め、多くの人はホイップされたクリームを無意識に「生クリーム」と呼び、それが動物性なのか、植物性なのか、あまり意識しないかもしれない。だが、実際は明確な定義があり、「乳脂肪のみを原料とした乳脂肪分が18%以上のもの」だけがクリームとされる。
乳脂肪に乳化剤や安定剤などの添加物を加えたもの、乳脂肪と植物性脂肪を混ぜ合わせたもの、植物性脂肪のみを原料に使ったものはクリームではなく、「乳等を主要原料とする食品」に分類されている。
井上氏いわく、一般的なカフェやクレープ屋などではクリームではなく、植物性脂肪を使ったホイップクリームを使うケースが多いとのこと。クリームに比べて風味が劣るが、これが生クリームの味だとカン違いして、生クリームを敬遠している人もいるようだ。
「多くの人が高級な生クリームの味を知らないのは、それを気軽に食べられる場がないからだと思います。植物性脂肪を使ったホイップクリームは原価が安いし、取り扱いやすいので多くのカフェなどで使われているんです。一方、クリームは非常に風味が良いのですが、原価が高く、泡立てた後に固まりやすくて扱いづらい特徴があります」
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