生クリーム9割の「スイーツ缶」、なぜ人気? がむしゃらに売らず30万缶突破の秘密:商品名「なまくり」(4/5 ページ)
9割が生クリームでできたスイーツ缶「なまくり」がじわじわと人気を集めている。わずか2年半で販売数は30万缶を超えているが、どのように人気を広げたのか。
期間限定の「10倍ちょこみんと」も話題
なまくりは、2カ月に1回ほどの頻度で期間限定の新商品を発売しており、これも話題を集める要素となっている。これまでに「れあちーず」「宇治抹茶」「ロイヤルミルクティ」「かすたーど」「クッキー&クリーム」など10種類ほどの新商品を発売している。
「クリームを楽しむことを大事にしているブランドなので、クリームのおいしさを消さずに調和するような組み合わせを意識しています。生クリーム好きの僕自身が食べたいと思うか、という視点で開発していますね」
期間限定商品を発売する狙いは、「ファン層を広げるため」だという。
「生クリームは料理にも使われますし、意外と何にでも合う万能食材なんです。そうした要素を生かして、生クリームが好きな人だけでなく、苦手だと思っていた人にも生クリームの新しい食べ方を提案していきたいなと。新しいファンを取り込む入口として、コンスタントに新商品を開発しています」
2024年8〜9月には、これまでに発売した期間限定商品と既存の「なまくり」を含めた10種類から人気ナンバーワンを競う「なまくり総選挙」を実施。1位となったのは「10倍ちょこみんと」(250ml、850円)で、9月17日〜11月中旬頃まで再販した。
人気がありそうなチョコレートやカスタード味よりも、チョコミントが1位になったのは意外だったが、井上氏はその理由をこう分析する。
「ニッチな商品を好きな人たちって行動力があるんです。『なまくり』自体もニッチで販売場所も限られていますが、生クリーム好きの人たちは、あえて時間とお金をかけて買いに来てくれます。チョコミントも『チョコミン党』という言葉があるぐらい熱狂的なファンがいて、その人たちの行動力のおかげで1位になったのでしょう」
実は、「10倍ちょこみんと」という商品が生まれた背景にもチョコミン党の声が反映されている。2023年8月に「10倍ちょこみんと」の前身となる「ちょこみんと」を発売したところ、「ミント味が薄すぎる」とチョコミン党から多くのクレームが入ったのだ。そこで、一旦製造をストップしてミントの風味を強くした「10倍ちょこみんと」を発売したところ、チョコミン党から支持を得たという。
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