「決めるのが怖い」と悩む管理職へ 今すぐ「決断力」を高めるために押さえるべき3つの視点:問いの設定力(2/3 ページ)
本当にこの決断で大丈夫だろうか……。予測が困難なビジネス社会において、「決めること」に恐怖心を抱いている管理職の方も多いのではないでしょうか?本記事では決断力を磨く3つの視点、意思決定における重要な考え方ついて詳しく解説します。
特に強化すべきは「多面的」な視点
「決める力」を高めるには、その対象となるモノ(問題や課題)を「多面的」「長期的」「根源的」という3つの視点で捉えることが重要だとお伝えしてきました。
その中でも、私が特に大事にしているのは「多面的」な視点です。問題や課題によっては「長期的」「根源的」な視点が求められない場合もありますが、「多面的」な視点は全てにおいて求められると考えています。影響力の大きな決断が必要とされるポジションにいる方であれば、なおのこと問題や課題をあらゆる角度から見る能力を身につける必要があります。
「多面的」な視点を高めるためのポイントは2つ。1つはフレームワークを習得すること、2つ目はメタ認知力を高めることです。
ビジネスにおけるフレームワークとは、先人たちが経験した失敗や成功から、思考の方法やビジネス創出の方法をモデル化したものです。「SWOT分析」「PEST分析」「3C」「4P」「カスタマージャーニーマップ」……など、目的に応じて、情報や選択肢を整理し現状を正確に把握するためのフレームワークがたくさんあります。フレームワークのような“矯正レンズ”をうまく活用し、一定の枠組みに沿って考えることは、多面的に見ることにつながっていくでしょう。
メタ認知力とは、自分の思考や行動そのものを認知の対象とし、自分自身の認知活動を客観的に捉え、評価や制御する能力のこと。自身について客観的な考察ができれば、他者の意見をより受容しやすくなります。
例えば、「自身が所属する営業チームの立場であればうれしい判断ではあるけれど、納品チームの立場だったらどう思うのだろうか?」というように、いったん立ち止まり、「あの人の立場だったらどうだろうか?」と自分に問いかけてみることで、多面的な視点を高められるでしょう。
「意思決定」と「コミュニケーション」は分けて考える
先日、こんな相談をいただきました。
ビジネスシーンにおいては、スピーディーな意思決定が重要になると思うが、さまざまな方向性を探りながら話を進めていると必要以上に時間がかかってしまう。だからといって、スピード重視で論理的に結論を提示すると、共感性がなく参加メンバーから冷たい印象を持たれてしまう……。
スピーディーかつ、メンバーが納得感を得られる意思決定の仕方についての質問ですが、私は「スピーディーな意思決定をすること」と「周りに納得してもらうこと」は分けて考えるのがよいとアドバイスをしました。
ビジネスの局面の中には、リーダーとしてすぐに決断を迫られることも多くあるでしょう。メンバーの話をゆっくりと聞いていられないこともあると思います。その場合は、課題や問題を「多面的」「長期的」「根源的」な視点で捉え、リーダーがスピーディーに意思決定をしなければなりません。
一方、「周りに納得してもらうこと」は、意思決定とは異なる、周囲とのコミュニケーションの話です。意思決定をした後に、なぜこのような決断をしたのか、この先に何が起こるのか……参加メンバーに“目指す未来”について分かりやすく示すことができればよいのではないでしょうか。
そのために普段から大事にしたいのは、メンバーとのコミュニケーションです。最初からリーダーとメンバーの関係性が構築されていれば、意思決定の都度で周りに納得してもらうことにそこまでパワーを注ぐことはありません。リーダーとして、それぞれのメンバーがどういう思いで仕事をしているのか、自分がどういう考えで仕事に向き合っているのかなどを互いに理解できていれば、細かな説明がなくても、納得感のある意思決定になるからです。
「リーダーは自分のことを分かってくれている」という感覚があるかないかは、組織運営においてとても重要です。普段から意識的に取り組めるとよいことの一つだと思います。
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