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接待が苦手なビジネスパーソン必見! 今すぐ実践すべき「戦略的会食」のススメ令和の「会食」を研究する(2/2 ページ)

忘年会・新年会シーズンの今、「明日は会食だ……」と憂鬱になっている読者がいるかもしれない。意味のある、成果を出せる会食は一体どんなものなのか。今回の記事では筆者が実践している「戦略的会食」について解説したい。

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店選びの後は? コミュニケーション・プランニングのススメ

会食コミュニケーション・プランニング

 会食で相手を唸らせる準備ができたら、会食の半分はクリアである。もう半分は会食の「会」の部分だ。会話を完璧に仕上げよう。

 会食での時間の過ごし方について、読者の皆さんはどのような意識を持っているだろうか? なんとなく緊張しながら、ぶっつけ本番で会食に行っていないか?

 それではいけない。チーフ・イート・オフィサーたるもの、会食監督、会食プロデューサーとして、会食の流れを完璧に作り込まなければならない。

 そのためには、時間配分を意識したコミュニケーションプランニングが重要である。

 まず、会食で得たい成果を整理する。「商談で受注したい」なのか「アライアンスを成功させたい」なのか、何かしらビジネス上の目標があるはすだ。

 そして、その目標を達成するには会食終了後に相手からどのような感情やコメントを引き出せているべきかを考えておく。狙いたいゴールから逆算し、2〜3時間ある会食の会話内容を整理する。

 例えば下記のようなイメージだ。

18:40:早めに到着し、店員やトイレ、メニュー、店の目印など確認しておく

19:00 :到着時点でのあいさつを済ませ、この店を選んだ理由、楽しませられるポイントを紹介する

19:20:これまでお世話になったことや今後合意したいことのジャブを打ちつつ、乾杯

19:50:仕事だけでなく、以前から聞いていたプライベートのご家族のお話(例:お子さんの受験話など)を伺う

20:10:趣味としているサッカーのお話を聞く

20:30:これまでの仕事のご経歴と今のお仕事、集中して取り組んでいる領域を確認する

20:50:終わりのあいさつのタイミングで、今後の依頼事項をさらっと伝える

21:00:帰りのあいさつ。お土産を渡しながら依頼したい約束を取り付ける

これは商談におけるアジェンダ設計とほぼ同じ考え方をする。商談の60分は無駄にしてはいけないのと同じく、会食の120〜180分は無駄にしてはいけない。

店選びの段階で、美味しいことは確定しているので、ご飯で心配することはない。相手との会話に全集中しながら最高のコミュニケーション体験を設計し、関係構築やゴール達成のために糸口を見つけ出すのだ。

会食相手に刺さる「1to1カスタマイズトーク」

 会話を盛り上げるために、事前に相手の趣味や仕事の興味を聞くなど可能な限り事前にリサーチできるとよい。

 以前、会食相手から「娘さんが好んでいるKpopアイドルのライブに付き合わされ、ウンザリした」という話題を聞いたことがある。後日、筆者は会食でこの「話題の仕込み」をした。

 そのアーティストについて徹底的に調査して、「実は娘さんが好きなアイドルグループは、◯◯さんのご世代だと△△に近い魅力があるんですよ。このグループは、このような点がヒットした秘訣のようです。私たちの仕事で考えると、この取り組みは生かせますね」と紹介した。娘さんとの会話を円滑にするための知識と、目先の仕事で生かすための考え方を話題に入れ込んだわけだ。

 この話は大変に盛り上がり、顧客からは「事前準備」「仮説立て」「情報提供」「コンサルテーション」の能力の評価も高まった。

 会食相手に関して話せる会話の総量は、すなわち相手への興味の大きさを示す。「ここまで考えてくれなんだな」と相手に思わせる気配りを、トークの中で発揮しよう。

 ただし、話し過ぎは鼻に付く可能性もあるので、常に聞く・話すのバランスは見ながら会話を心掛けよう。

仕事のプロフェッショナルであることを証明

 会食では「この人は専門性がありそうだし、仕事の相談や依頼をしたら期待に応えてもらえそうだ」という印象を与えることも重要だ。

 会食は“仕事として行くご飯”である。顧客の興味に合わせて仕事における最新トレンドやノウハウをチラチラ紹介することが望ましい。会食は相手のために開くものなので、自分の話ばかりをするのは御法度。相手が気持ちよく話せるように、7割くらいは話を聞くことに時間を使うほうがいいだろう。

 一方で、残り3割の自分が話すタイミングで、するどい質問や参考になる専門知識を分かりやすく話せるように仕込んでおく。「話を聞いてくれて楽しいな。良い人だな」ということだけでなく、「この人は専門性が非常に高く、仕事の相談相手としてはピカイチだな」と思ってもらわなければいけない。会食時のふとした会話で、ビジネスインテリジェンスを感じてもらうのだ。

 最新の業務トレンドや国内でうまくいってる仕事の事例の紹介などを通じて、相手に「仕事の話題としても良い話を聞けたぞ」という感想を持ってもらいたい。ビジネス会話のネタにするため、日頃の情報収集は欠かせないのだ。

上座ってどっちだっけ? など、会食にマナーは不要

 上座下座やテーブルマナーなどは、ぶっちゃけどうでもいい。くちゃくちゃ音を立てて食べたり、壮大にスープをこぼして相手のシャツにかけたり、余程の粗相がなければマナーは気にならない。多少敬語が間違っていたり、マナー違反をしていたりしても構わない。それよりも、ご飯の美味さや会話の濃さが重要だ。

 マナーのレベルは相手の基準レベルを意識して、ここは最低限押さえておこうとマイルールを作り、気を付けていればそれで問題ないだろう。マナーを過剰に守ることより、思い出に残るほど絶品の料理を食べ、少しでも相手の仕事の役に立つ、双方の深い理解につながる話をするほうが重要だ。

 もしかしたら、会食は一切必要ないとお考えのビジネスパーソンもいらっしゃるかもしれない。しかし、本記事で紹介した「戦略的会食」のポイントを押さえれば、成果につながる会食ができる可能性が高まるだろう。ぜひ、今後の参考にしてほしい。

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