部下に「仕事は終わってないですが定時なので帰ります」と言われたら、どう答える?:「キレイごとナシ」のマネジメント論(4/4 ページ)
企業にとって残業しない・させない文化の定着は不可欠だ。しかし――。
仮説を立てるクセをつけさせる
「まず、手を動かしてみます」
「自分なりに、やってみます」
という姿勢はよくない。一つ一つに仮説を立てるクセをつけさせるのだ。部下が立てた見通しが甘いのであれば、
「そのリスト情報はどこから持ってくるの?」
「現状分析をせずに資料作成するのはよくないよ」
このようにアドバイスしよう。仕事を始める前に「認識のズレ」をなくしておくのだ。
「ありがとうございます。こうすれば16時ぐらいに終わりそうですね。いったん15時に中間報告します」
実際に部下が作業を始めたら、本当に見通し(仮説)を立てた通りになるのか、後で「気付き」を共有してフィードバックしよう。そうすることで、成長スピードも速くなるはずだ。
「ダメ出し」の文化から決別しよう!
昔は上司や先輩から、いちいち「見通し」のことなど触れられず、
「まずは手を動かせ」
「自分のできる範囲でやって」
などと言われたものだ。そしてうまくできないと、
「誰がこんなやり方をしろと言った?」
「もっと頭を使えよ」
とダメ出しをされた。しかし、そんな突き放した指導は今のご時世、絶対にやめたほうがいい。組織のためにも、上司がラクをするためにも、一人一人の部下が正しく成長したほうがいいのだ。
従って、いったんやらせてからダメ出しをするようなやり方ではなく、仕事を依頼する前に丁寧に質問し、考えさせ、認識合わせをすることだ。
そういう指導を怠ると、部下も自分なりにやり、自分なりに終わりの時間を決め、自分なりの判断で帰宅するようになっていく。
スキルのみならず、仕事に対する姿勢を啓蒙することも上司の務めだ。今回紹介した「三面等価の法則」はとても大事な概念なので、ぜひ活用してもらいたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「お前はどうしたい?」しか言わない上司の自己満足 「考えさせる風」コミュニケーションが招く悲劇
この認識のズレが、若手社員の成長を阻害する要因にもなっている。
部下が相談する気をなくす、上司の無神経な「たった一言」
部下が報連相しようとしたときの上司の何気ない「ある一言」が、部下の心を萎縮させているのだ。
部下から「給料を上げてください」と言われたら、上司のあなたはどう返す?
もしこんな相談を受けたら、決して避けてはいけない。上司がどう向き合うべきか解説する。
「自責思考を持て」という“無敵論法”の危うさ 素直な若手ほど潰れるワケ
上司から「自責の念を持て」「他人のせいにするな」と言われた経験はないだろうか。
“残念な上司”が作る「会議資料」の特徴 ムダをなくす3つの改善策は
会議資料を一目見ただけで、その上司が「できる人」か「残念な人」かが分かる。
