ほとんど「マグカップ」な土鍋が1億円売れるヒット 逆手に取った「思い込み」:テストマーケティングから見るプロダクトの近未来(1/2 ページ)
「思い込み」にこそ、ビジネスチャンスは眠っている。
「テストマーケティングから見るプロダクトの近未来
企業の新商品・サービスの挑戦を支援するプラットフォーム、Makuake。ここでは日夜、新たなコンセプトを持った商品が企画され、ユーザーの厳しい目にさらされている。多くの支持を集めた商品にはどのような特徴があるのか。本連載では既に終了したプロジェクトを振り返り、成功の要因からプロダクト開発の近未来を探る。
コロナ禍以降、外食の機会が減り、自宅でおいしい食事をとることを重視する人が増えました。なかでもお米をおいしく食べたいと考えている人は多く、「炊飯器」「土鍋」「羽釜」などと検索すると多数の炊飯関連商品が出てきます。
一方で、「土鍋や羽釜は炊くのが大変」「保存がしにくい」などのイメージから、なかなか手が出せない方も多いようです。しかし、このような「思い込み」にこそ、ビジネスチャンスは眠っているのです。
著者プロフィール:朝倉亮
株式会社マクアケ キュレーション局 キュレーター
鳥取県出身。それぞれ100年以上続く木工所と農業関連の企業を営む両親の元で生まれる。株式会社マクアケ入社後、キュレーターとして数多くのプロジェクトに携わる。
2021年10月より中四国拠点の責任者として、主に中四国地域のプロジェクトサポートを行う。
「思い込み」を逆手に取った土鍋の開発
応援購入サイトMakuakeでこれまでの応援購入総額が1億円を超えている、取っ手がついた土鍋ごはん「おまぐはん」という商品があります。火加減の調整が必要なく、簡単に料亭風の炊き立てごはんができる優れものです。
旅館や飲食店などで味わう機会も多い土鍋ごはん。炊飯器よりもお米がおいしく炊けるというイメージを持たれている方も多いでしょう。実際「おまぐはん」は、陶磁器の販売を手掛ける横鹿(長崎県佐世保市)代表取締役の横石浩成氏が、旅館に卸している土鍋を、自宅でも簡単に使えるようにしたいと考えたことがきっかけで開発されました。
これまでの土鍋は、「手間がかかっているからこそおいしくできる」という印象が強く、なかなか一般家庭には普及しませんでした。
そのため、「おまぐはん」のマグカップのような親しみのあるデザインと、火にかけるだけという手軽さで本格的な土鍋ごはんが楽しめるという画期的なアイデアに、多くの支持が集まりました。
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