インタビュー
熊本の廃校が「世界最先端のビジネススクール」に 異色スタートアップの、故郷への思いと緻密な戦略(3/5 ページ)
熊本県の田舎町で、ハーバードMBA取得者が仕掛けた廃校活用プロジェクト。独自のサブスクモデルと徹底的なローコスト運営で、地方の“イノベーション拠点”を目指す。
“MBAの民主化”と徹底的なローコスト経営
「そもそも、利用客が来る見込みはあったのか」と問うと「施設利用者がいなくても成立する仕組みを最初から作ろうと考えていました」と中原氏は冷静に答えた。
その中核となるのが、月額9900円から始まる会員制コミュニティー「bY」(ビーワイ)だ。コワーキングスペースやラウンジの利用権に加え、オンラインで世界水準の経営学を学べるという異色のサービスだ。中原氏自身のハーバードMBAでの学びを、より手軽な形で提供する。
「海外のMBA取得には、2年間で最大32万ドル、およそ5000万円近くの費用が必要です」(中原氏)。そんな高額な教育機会を、月額1万円程度で提供する“MBAの民主化”に挑戦するというわけだ。「150人の会員がいれば、施設は維持できます」と言い切る中原氏。現在の会員数は30人ほどだが、法人会員の開拓も始まり、着実に手応えを感じているという。
施設運営面でも徹底的なローコスト化を図る。24時間365日の利用を可能にするスマートロックを導入し、常駐スタッフを置かない仕組みを構築した。必要最小限のスタッフは、「特定地域づくり事業協同組合」制度を活用した「YAMAGA BASE事業協同組合」から派遣する。U・I・Jターンの若者を雇用し、温泉施設やワイナリーなど地域の他施設にも派遣することで、人件費の平準化も実現している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ナイキ「オワコン化」の足音 株価急落、新興シューズメーカーが影
ナイキの不調には複数の要因が絡んでいるようだ。
書類でよく見る「シヤチハタ不可」、シヤチハタ社長に「実際どう思ってますか?」と聞いたら意外すぎる答えが返ってきた
ハンコで国内トップメーカーのシヤチハタが、2025年に創業100周年を迎える。気になっていた質問をぶつけてみた。インタビュー後編。
「うどんみたいな布団」が突如爆売れ、Xで16万いいね 「売れたらラッキーくらいに思ってた」と担当者
Xで「万バズ」となった「うどん状の布団」。一体どのような商品なのか。
ドンキ「あんだく溺れ天津飯」が爆売れ あんが“容器の限界”超えてしまい、開発時は難航
ドンキで「あんだく溺れ天津飯」が売れている。“偏愛”に振り切った商品だからこそ、開発時は苦労したという。
インバウンド殺到の渋谷ドンキ 「月に1億円」売れるお菓子とは?
東京都で最も訪日客が訪れる街、渋谷のドン・キホーテでは何が一番人気なのか? インバウンド需要の最前線を取材した。

