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1000万円のDX投資が台無しに……「進捗管理」の誤解が招く悲劇「キレイごとナシ」のマネジメント論(4/4 ページ)

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正しい進捗管理の3ステップ

 高額なシステムを入れて見える化をしただけでは、進捗管理は完了しない。

 Plan(計画)とDo(実行)の部分を支援するのが、SFA/CRMといった情報システムの役割だ。しかしCheck(確認)とAction(改善)の部分は、システムだけではできない。

 それでは、正しい進捗管理のやり方をまとめていこう。前述した通り、まずは以下3つのステップを頭にたたき込もう。

  1. どれだけ進んでいるか
  2. どこに問題があるか
  3. 予定通りに進めるために何をすべきか

 一つ一つ見ていこう。

1. どれだけ進んでいるか

 まずは、現状を正しく把握することから始めよう。いわゆる「現状認識」である。

 例えば、月間目標1000万円の売り上げに対して、今月20日の時点で400万円しか売り上げがないとする。

 「このペースだと目標未達だな」

 と過去の実績だけを確認するのではなく、

 「残りの600万円のうち、どのぐらいが見込みとして残っているのか?」

 「商談中の案件は全部でいくらあるのか?」

 このように、過去だけでなく未来にも目を向けて現状を把握する。

2. どこに問題があるか

 次に、なぜ予定通り進んでいないのか? その問題の箇所(Where)を見つけよう。原因(Why)を追及すると、言い訳しか出てこない。それだと解決策は思いつかないものだ。

 「提案前プロセスのコンバージョン率が低い。特に社歴の浅い4人の営業のコンバージョン率が、平均より20%低いです」

 「見込み客の数そのものが足りないのです。昨年と比べると、一人あたり15社も足りません」

 このように、具体的な数字とともに問題点を洗い出すのだ。そうすると、解決策も導きやすくなる。

3. 予定通りに進めるために何をすべきか

 そして最後に、具体的なアクションを決めていく。当然、問題の箇所によって対策はまるで違う。

 提案前プロセスのコンバージョン率が低いなら――

 「社歴の浅い営業を集めて、お客さまの課題をどうヒアリングするか、定期的な勉強会をしよう」

 見込み客そのものが足りないならばこうだ。

 「展示会など、イベント企画をてこ入れしよう。営業企画部と対策を練る」

 このように、一つ一つアクションプランを練っていく。ネクストアクションが決まれば、次回の進捗会議で、どのような状況か、何が問題かを確認すればいい。

まとめ

 DX推進のために高額なシステムを導入しても、なぜうまくいかないのか? 理由は、マネジャー自身が進捗管理の本質を理解していないからだ。

 進捗管理とは見える化することではなく、見える化したデータを使って適切な判断とアクションを起こすこと。世の中、DXやAIといったキーワードが溢れかえっている。しかし決して振り回されてはいけない。

 情報システムはあくまでも道具でしかないのだ。本当の進捗管理ができる人材を育成することこそが、DX推進の第一歩といえるだろう。

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