高速PDCAで荷物返却も「爆速」 スカイマークの顧客満足度がANA、JALよりも高い納得の理由(3/3 ページ)
ANAとJALに続き国内航空会社で3位のスカイマークだが、顧客満足度ランキングでは2社を上回り、1位を獲得している。特に利用者から評判なのが、受託手荷物の返却スピードだ。SNSでも「着いた瞬間に荷物を回収できた」「人より先に荷物が出てきている」といった声が多い。
「KKDから脱却」 楽しみながら強みを伸ばす仕組み作り
もともと搭乗後アンケートやデータ化を始めたのは2018年だったが、ここまでスピード感のあるPDCAサイクルを始めたのは、戸田氏がCS推進室長に就任した2020年度から。その理由について、次のように話す。
「室長に就任した当初、データはあるものの活用できていない課題がありました。態度の悪い係員がいたり、空港の待ち時間が長かったりしたときに、データがあるのに放置していては意味がありません。『KKD(勘・経験・度胸)』から脱却して、よりお客さまに満足していただこうという狙いから、現在のような高速でPDCAサイクルを回す体制にしていきました」(戸田氏)
とはいえ、支店ごとの評価が可視化され、かつ成績順に並ぶとなると、現場もプレッシャーを感じているのではないか。この点は「あくまでゲームのように『どうすればスコアがあるんだろう』と楽しみながら競争できる仕組みにしようと現場に伝えています」と戸田氏は話す。
経営陣による朝礼以外にも、CSに関する具体的な方針を定めたり、現場での活動状況や効果をヒアリングしたりする「CSマネジメント会議」や戦略策定を担う「CX戦略会議」も実施している。これらの活動に共通するのは、マイナスの意見を基に対処するだけではなく、プラス面の意見も取り入れることだという。
「アンケートの各項目は5段階評価で、3以下の項目はしっかり改善する方針で取り組んでいます。反対に、お褒めの言葉をいただいたり、5の評価をいただいたりした取り組みは、当社の強みとしてしっかり伸ばしていく。こうした両面からCSに向き合っています」(井上氏)
今後の課題としては、まだ残っている各部門の縦割りをいかに打破できるかが挙がった。具体的には、チケットの予約から搭乗後までを一つの流れとして捉え、いかに改善していくかという「CX」の観点を強化していきたいという。その他、顧客満足度をいかに従業員満足度や業績と接続するか、いわゆる「サービスプロフィットチェーン」の構築も強化したいと戸田氏は話した。
現場力を高める取り組みで数多くの成果が生まれ、3年連続の「顧客満足度1位」という快挙を成し遂げたスカイマーク。その“航続距離”をどこまで伸ばせるか、注目だ。
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