「そんなこと教わってません」――同じミスを繰り返すのに覚えない部下、責めずにこう声を掛けよ:「指示通り」ができない人たち(3/4 ページ)
同じようなミスを繰り返す従業員の処遇に頭を悩ませる経営者は少なくない。
記憶の“刻み方”を工夫する必要がある
同じようなミスを繰り返すというのがここでの深刻な問題だが、前者のケースでは、教わってるはずのことであるにもかかわらず、教わっていないとかはじめて聞いたとかいう。
それが何度も繰り返される。後者の場合は、指摘されると思い出すのでまだよいが、前者の場合は教わった内容をうっかり忘れるだけでなく、教わったということすら忘れてしまうところに、記憶の問題の根深さを感じざるを得ない。
この場合は、認知能力の問題が考えられるので、そこをカバーする工夫が必要となる。本人が思い出せない、つまり記憶がないのだから、「何度も教えたはずだ」といくら諭しても意味がない。ここで必要なのは、責めることではなく、記憶力の弱さを何とかして補うことである。
記憶がすぐに消えてしまう人の場合、記憶の刻み方を工夫したり、記憶の保持を工夫したりする必要がある。
記憶の刻み方の問題としては、集中力の欠如がある。人と話した後で振り返ると、相手の話した内容をほとんど思い出せないということがあるはずだ。相手の言うことを上の空で聞いていると、ほとんど頭に残っていない。耳で聞いているだけではなかなか記憶に刻まれない。意識を集中して聞いていないと記憶に刻まれない。
記憶が悪い人の場合、しっかり意識を集中して聞いていない可能性がある。その聞き方を改善する必要がある。そのためにも、こうした知識を教えるとともに、仕事に関するアドバイスを受けるときは、とくに意識を集中して聞くように諭すべきだろう。
記憶が悪い人の場合、記憶の保持に問題がある可能性もある。そこを改善するには、常にメモをするように習慣づけることが大切だ。そのときは覚えていても、翌日、あるいは数日後には忘れてしまうというのは、誰にもあることだ。ましてや記憶の悪い人の場合、そんなことが日常茶飯事となる。
そうしたことを防ぐためにも、受けた用件は常にメモしておき時々読み返すように指示しておくべきである。紙にメモするのでも、パソコンやスマホに入力するのでも、どちらでも構わないが、机に貼ったりして簡単に参照できるという点では、紙にメモするのが便利だろう。
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