「スマホが会話を盗み聞きする」は本当か 不気味なほど正確な広告を出す仕組み:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
Appleが「Siri」の開発目的で利用者の会話を記録していることを認めた。一方、スマホが広告のために会話を盗み聞きしている、といううわさが以前からある。それは「ない」といえるが、技術的には可能。よく分からないアプリなどには注意が必要だ。
広告のための“盗み聞き”はあるのか
スパイ活動や犯罪捜査にからんでいる人であれば当局から盗聴される可能性はあるが、そうでなければ、電話による会話が広告などのために盗み聞きされることはないと考えていいだろう。
先ほどの「お米」の広告の話で言えば、少し前にお米について別のデバイスで検索していた可能性もあるし、決まって半年ごとにお米を買っている記録が残っていれば、お米がなくなるタイミングを推測して広告を出してくることもある。家族が同じWi-Fiを使ってお米の検索をしたら、自分にも影響を及ぼす。広告が出るのはいくつもの複合要因があると見られる。
さらにいえば、もし常に通話や、Siriなどのデバイスで「盗聴」をするとなると、バッテリーの消費も早くなるので、ユーザーは異変に気付く可能性がある。
今回、Googleの生成AI「Gemini(ジェミニ)」に、スマホがユーザーの会話を広告のために盗聴しているのか、また、どれくらいの個人データを収集しているのかを聞いてみた。
Gemini:AppleやGoogleなどの大手企業は、広告ターゲティングのために会話を積極的に聞いているという話を否定しています。日常会話が直接特定の広告を表示するために利用されているという具体的な証拠はありません。
個人情報についてはこう答えている。
Gemini:スマートフォンは、閲覧履歴、位置情報、アプリの使用状況、購入行動など、ユーザーに関する膨大なデータを収集し、詳細なプロファイルを作成し、アルゴリズムによって、データを分析して、ユーザーが何に興味を持っているかを推測します。これにより、通話の会話を直接聞かなくても、不気味なほど正確だと感じられる広告が表示されることがあります。
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