「姫、お待ちしておりました」忍者レストラン、“接待需要”に勝機? 海外富裕層も魅了する戦略とは(2/4 ページ)
東京で2001年から続く「忍者レストラン」が好調だ。コロナ禍で多くのテーマレストランが閉店する中、なぜ“生き残り”を果たせたのか。
「忍者の強み」生かす
そもそもNINJA TOKYOは、どのようなきっかけでオープンしたのか。
同店を運営するのは、すかいらーくHDを創設した横川四兄弟の一人、横川紀夫氏らが創業したウィルプランニング(東京都港区)。もともとは日本らしさを打ち出したテーマレストランを、ニューヨークなど海外にFC展開しようとの発案から、「忍者」をモチーフに選んだそうだ。赤坂の直営店も、当初は海外進出に当たっての実験店との位置付けだった。
人気店となった背景には何があるのか。金原氏は、外装やサービスにおける「本物」へのこだわりを挙げつつ、「やはり『忍者』という要素が強いのではないか」と話す。「サブカルコンテンツの世界的な人気もありますし、『忍術』のミステリアスさも、アトラクションと相性が良いのだと思います」
しかし、史実通りの「忍者」とフィクションの「NINJA」には、乖離もあるのではないか。
「あまりにも『忍者』すぎてしまうとお客さまを置いてきぼりにしてしまうので、そこは難しいところです。海外のお客さまには『NARUTO』なども人気なので、アニメやドラマ、映画などのフィクションも踏まえて、忍者のイメージを作り上げています」(金原氏)。とはいえ「本物」のエッセンスはアトラクションでも重視しており、実際に「忍者の修行」を積んだスタッフも在籍しているのだとか。
宮大工が携わったり、奥飛騨の古民家を解体した木材を用いたり……と、内装にも手をかけている。食のニーズの変化も踏まえ、ヴィーガン向けのコースを用意するなど、メニューのブラッシュアップも欠かさない。「本物」を追求しつつ、幅広い層に受け入れられるよう施した工夫が、多くの人を呼び寄せているのだろう。
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