「いつも迷惑かけてばかりで……」 自分の情けなさを“やたら嘆く”部下との接し方:はじめはとても好印象だった(3/4 ページ)
嘆くだけではいつまでたっても仕事ができるようにはならない。
吐き出すと「スッキリ」してしまう
「できるようにならなくちゃって思ってるんですかね。でも、確かに、どうしたらできるようになるかが分からなければ改善しないですね。だけど、ふつうは仕事をしているうちに、だんだんできるようになっていくんですけど、なぜそうならないのか……」
『経験を積むことでだんだんできるようになっていく人の場合、自分はなぜ仕事がうまくできないのか、どこがまずいのか、どんなことができるようになればいいのか、そのためにはどんなことに注意したらよいのか、といったことをごく自然に考えながら、仕事のやり方を改善していくわけです』
「そうですよね。彼女にはそれがないんですよね」
『いつまでたってもちゃんとできるようにならないという人の場合、そうした振り返りがないため、気付きが得られず、改善がなされない。それが自然にできないんでしょう。放っておいても自然にできる人と違って、そういったことを促すような教育的働きかけが必要でしょうね』
「なるほどね。これまでの人たちはそれが自然にできていたから、私もあまり意識していなかったんですけど、振り返る習慣がないと気付きがありませんね。気付きがなければ改善しないですね」
『だから、それを促すんです』
「手がかかるんですね」
『もう一つ、注意しておかなければならないことがあります』
「何ですか?」
『自分はうまくできないなどと始終嘆く人の場合、できないことによる心の中のモヤモヤが、人に嘆くことで解消され、スッキリしてしまう、っていう問題もあるんです』
「嘆くことで気持ちがスッキリしちゃうんですか?」
『ええ、それが自己開示のカタルシス効果です。不満にしても、心配事にしても、誰かに話すことで気持ちが楽になるっていうことがあるでしょう』
「確かに人に話すと気分がスッキリする、っていうこと、ありますね」
『例えば、上司の態度への不満が心の中に渦巻いているとき、同僚に上司への不満を聞いてもらうと、多少とも気分がスッキリしますよね。でも、上司の態度が改善されたわけではない。それでも、不満を吐き出すことでスッキリする。それが自己開示のカタルシス効果です』
「なるほど。分かります。思いを吐き出すだけでスッキリする、っていうの」
『吐き出すことでスッキリするのは、人に対する不満や心配事に限りません。自分が仕事ができず、周囲に負担をかけていることを心苦しく思っている。そんな思いが心の中に渦巻いているのは苦痛だし、気分が良くないですよね。でも、それを人に吐き出すことで、スッキリしてしまう。何も改善されていないのに、気分がスッキリしてしまう』
「それじゃ困るじゃないですか」
『困ってしまいますね。だからこそ、そんな自分の状態に気付くように導き、改善へのモチベーションを刺激してあげる必要がありますね』
そこで、具体的な注意事項について、以下のようにアドバイスした。
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