なぜ「ジムニーノマド」の注文が止まらないのか 変わりゆくクルマ選びの基準:高根英幸 「クルマのミライ」(3/5 ページ)
スズキが発表した「ジムニーノマド」に注文が殺到し、受注を停止する事態になった。SUV人気に加えて、実用性と新しい刺激の両方を得られる期待感が高いようだ。今後のクルマ選びに対しては、充実した機能や性能をいかに分かりやすく伝えるかが重要になる。
多様な要素を兼ね備えるのがSUVの強み
目新しさはそろそろ薄れてきたが、オールマイティーな使い方が出来てスポーティー(スポーツカー的ではなく活動的、という意味)に乗り回せるSUVの人気は根強い。
そのため日本の道路における乗用車は、軽自動車とミニバンとSUVに集約されつつある。スポーティーカーやセダン、ステーションワゴン(国産はカローラツーリングワゴンとレヴォーグくらいしかない)は少数派だ。
しかし、最近さまざまな自動車関連メディアが報じているが、スズキがカプチーノを復活させるという情報もある。これは前回のジャパンモビリティショーでダイハツが発表したビジョン・コペンと同じプラットフォームを利用して開発されるのであれば、非常に実現性の高い計画だ。
トヨタがS-FRというコンパクトなスポーティーカーを発表したのは2015年のこと。そこから発売のうわさが浮上しては忘れられるという浮き沈みを繰り返してきたが、それも再燃する可能性もある。
トヨタグループとしてマツダ・ロードスターのシャーシをプラットフォームとするのか。それとも新たにプラットフォームを開発し、次期ロードスターもそれを採用することになるのか。この先の展開が楽しみになってきた。
スポーツカーを作り続けるのは、自動車メーカーにとって、もうかる話ではない。しかし、それは短期的な見方だともいえる。また、プラットフォームを共有したり生産委託したりすることで、お互いのリスクを分散できる。
スポーツカーがラインアップにあれば、実用性の高いクルマばかりの殺伐とした雰囲気を華やかにすることもできる。自社ブランドのファンを増やし、ミニバンやSUVを選ぶ際にも、同じブランドを選んでもらえるようになる。
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