インタビュー
「廃棄される牛」に再び光を 仕入れコスト3分の1で黒毛和牛を提供可能に 社長が語った“苦い記憶”とは(1/5 ページ)
複数回の出産を経験した牛は、低価格なペットフードに加工されるか、廃棄される運命にある……。そうした牛を再肥育して価値を高め、日本の食卓にきちんと届ける取り組みを、北海道の外食チェーンHIR(札幌市)が実施している。
インバウンド需要の回復と物価高で、黒毛和牛は「外国人のための食材」とまで言われるほど高級化した。一方で、乳量低下や出産能力の衰えた「廃用牛」は、その多くが低価値なペットフードなどに加工されるか、廃棄される運命にある。
北海道を中心に15店舗の飲食店を展開するHIR(札幌市)の代表取締役の小林大夢氏は「日本の食材を、日本の食卓に届けたい」と語る。同社は廃用牛を再肥育して一頭丸ごと買い取ることで、通常の3分の1以下という破格の仕入れコストを実現。高級部位は自社の焼肉店で提供し、その他の部位でハンバーグを製造する独自モデルを確立した。本稿では、その取り組みの裏側やそこに込められた思いに迫る。
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