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悲しいほど売れなかった「刻みのりハサミ」、“名前を変えただけ”で100万本超の大ヒット商品に(1/4 ページ)

「見方を変える」だけで商品価値が劇的に変わる──。新潟の中小企業が仕掛けた、売れないハサミを大ヒット商品に変えた逆転のマーケティング戦略とは。

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 個人情報保護への意識が高まる昨今、シュレッダーは家庭でも求められるようになった。だが、シュレッダーは置き場所を取るし、重いし、値段が高いのも事実だ。そんな既存製品の課題を解決したのが、コンパクトな「ハサミ型シュレッダー」である。

 このハサミは当初、「刻みのりを簡単につくれるハサミ」として売り出していたという。刻みのりを切るために新たなハサミを買う人は少なく、わずかしか売れないお荷物商品だった。それが視点を変えただけで累計100万本を突破する大ヒット商品へと化けたワケだ。

 新潟県三条市の中小メーカーアーネストが仕掛けた、“切り口”を変えたマーケティング逆転劇を見ていこう。


話を聞いたのは営業部 広報販促課の高橋俊介氏

シリーズ累計106万本販売の“デスクサイド・シュレッダー”

 アーネストが手掛ける「秘密を守りきります!」は、手のひらサイズのハサミ型シュレッダーだ。一見すると普通のハサミだが、5枚の刃を搭載している。この刃によって、レシートや領収書を一度切るだけで細片に裁断できる。


手軽に細断できるハサミ型シュレッダー(提供:アーネスト)

 銀行の明細書なら2枚同時に、はがきや名刺など厚みのある用紙もしっかりと切れる。


縦横で細断すれば更に細かく(提供:アーネスト)

 幅7センチ、全長19センチ、重量125グラムというコンパクトさも特徴だ。デスクの引き出しやペン立てに収まるサイズで、必要な時にすぐ取り出せる手軽さが好評だという。家庭に届くダイレクトメールや、日々の買い物でたまるレシート、各種請求書など、個人情報が記載された書類を手早く処理できる。オフィスでも活用され、コンパクトながら確実な情報漏えい対策ツールとして注目されている。


持ち運びしやすいサイズ(提供:アーネスト)

 2006年の発売以来、販売数はシリーズ累計で106万本を突破した。生協や通販、東急ハンズなどの専門店に加え、自社オンラインショップでも販路を展開している。2022年1月には軽量化したモデル「秘密を守りきります!ライト」も投入。こちらも約2年で3万2000本を販売するヒット商品となった。

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