「ギガの売買」はユーザーに刺さるのか メルカリモバイルが見込む「金脈」(2/4 ページ)
ギガが余るなら売る、足りなければ買う。一見シンプルに見えるこの仕組みだが、仕組みをよくよく見てみると、思いの外複雑さが見えてくる。
「簡単さ」で攻めるメルカリの実績
実は「カジュアル層の取り込み」というこの戦略、メルカリはすでに他分野で成功体験を持っている。
クレジットカード「メルカード」はその好例だ。ポイント還元率や特典の多寡で競争が激化するカード業界において、メルカードは特段の高還元率を打ち出していない。それでも、申し込みから利用までがメルカリアプリ内で完結する分かりやすさや、メルカリでの買い物にシームレスに使える利便性が受け、発行開始からわずか2年で400万枚を発行。競合他社が長年かけて構築した顧客基盤を短期間で獲得した。
暗号資産取引サービス「メルコイン」も説得力のある成功事例だ。コインチェックやbitFlyerなど老舗の暗号資産取引所が機能性や通貨の多様性で競う中、メルコインは当初ビットコインという単一通貨のみの取り扱いだった。外部のウォレットへの送金機能すら持たない最小限の機能に絞ったサービスながら、メルカリの売上金で直接購入できる手軽さと本人確認の簡便さが支持され、口座数300万を超える業界最大規模へと急成長した。
さらに2024年に開始した短時間労働マッチングサービス「メルカリハロ」も、サービス開始から1年弱で登録者数が1000万人を突破した。シンプルなジョブマッチングと報酬のメルカリエコシステム内での利用しやすさが、一般層の支持を集めている形だ。
メルカリはこれまで「物、お金、暗号資産、時間やスキル」という価値を循環させるエコシステムを構築してきた。今回、そこに「ギガ」という新たな価値を加えることで、さらなるシナジー効果を狙う。
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