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12万足売れた「歩くぬか袋」 米農家の社長、“門前払い”から大ヒットの執念(5/5 ページ)

小学校時代の思い出から着想を得た、商品開発の秘話とは。

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テレビ放送で大ヒット 「米ぬか」と「締め付けない」の相乗効果

 転機となったのはNHK「鶴瓶の家族に乾杯」の放送だった。鈴木氏の友人が「米ぬかの靴下を作っている友達がいる」と番組スタッフに紹介したことがきっかけで、俳優の加藤雅也氏が会社を訪問。撮影中、工場に飾られていた「締め付けない、きつくない」という掛け軸がたまたま映り込んだ。


テレビで紹介されたポスターと掛け軸 「歩くぬか袋」着用イメージまであと2枚

 「掛け軸がテレビに映っただけなのに、地元の役場に午前中だけで100件を超える電話が殺到したそうです」と鈴木氏。番組放送後は在庫が一瞬でなくなり、3〜4カ月待ちの状態に。

 「『米ぬか』だけでなく『締め付けない』という言葉が重なったからこそ、あれほどの反響があったと思います」と分析する鈴木氏。実は「締め付けない靴下」は、足首が通常の20〜22センチより太い30センチ以上あった父親のために特別に開発したものだった。この偶然の組み合わせが多くの高齢者の悩みに応えることになり、今も絶大な支持を得ている。

「これからが本当のスタート」 米ぬか繊維の未来

 「今までは準備期間、これからが本当のスタート」と鈴木氏は力強く語る。テレビ放送での成功を足掛かりに、2023年4月には会社の前に直営店をオープン。「トラクターしか通らない田舎ですが、ここでしか買えない商品だからこそ、お客さまが来てくれる」と地元奈良へのこだわりを見せる。


製造工場のすぐそばに建てられた実店舗(出所:公式Webサイト)「歩くぬか袋」着用イメージまであと1枚

 ECサイトと卸売りを中心としながらも「自分たちで作ったものは自分たちで売る」という思いから、自社販売に注力。今秋には肌着の発売も予定している。「既存のヒートインナーで悩む人たちに、かゆみや静電気の問題を解決する新選択肢を提案したい」と意気込む。

 「米ぬか繊維はここにしかない素材。糸や生地の販売から、タオル、ハンカチなどさまざまな製品展開、さらには海外市場まで可能性は無限です」と100億円企業を目指す鈴木氏。50年以上前の小学生の記憶から生まれた「米ぬかソックス」は、これからも多くの人々の足元を優しく包み込んでいくだろう。


着用イメージ

着用イメージ

着用イメージ

着用イメージ

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