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「農林中金がトランプ関税から世界を救った」はデマだった? それでもくすぶる“巨額損”のリスク(2/4 ページ)

農林中央金庫を「英雄視」するうわさがまことしやかに広まったが、トランプ関税によるリスクはいまだくすぶっている。

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農中の“損切り”はデマ?

 今回、米国債が売られた規模が世界全体で10兆円ともいわれている。

 SNSでうわさになる背景としては、10兆円というポジションの規模感や、ちょうど債券を売却するタイミングが符合するという点も挙げられるだろう。しかし、その信ぴょう性は疑わしい。

 うわさの投稿は「レバレッジを60倍もかけた運用がロスカットされた」という趣旨で、そもそも農中がそのようなハイリスクな運用を行っていたかは疑問だ。

 さらに、プロの公的運用期間である農林中金が、米国債売却で米市場を直接揺さぶるほど乱暴なロスカットを行うかについては、依然として疑問が残る。SNSの情報をうのみにすることは避けたい。

※なお本記事執筆時、農中の北林太郎理事長は日本経済新聞による取材で、米相互関税導入時の米国債大量売却について「事実はない」と否定したことが分かった。運用失敗に伴う米国債の一括売却は2024年度で終えたという。

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