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「農林中金がトランプ関税から世界を救った」はデマだった? それでもくすぶる“巨額損”のリスク(3/4 ページ)
農林中央金庫を「英雄視」するうわさがまことしやかに広まったが、トランプ関税によるリスクはいまだくすぶっている。
ローリスク運用のつもりがハイリスクに?
しかし、この度の金利高騰で農中は既存の他債券含め、さらに大きな損失を資産運用事業で抱えたのではないかと考えられる。
本来、債券中心の運用スタイルといえば「ローリスク・ローリターン」であるといわれるが、本当にそうだろうか? 債券偏重であることのリスクについて触れていきたい。
農中は「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律」により、自己資本額を超える株式保有は禁止されている。さらに、農林中央金庫法第73条では企業の議決権10%超の株式取得も禁じられるなど、資金運用の柔軟性が制約されている。
その結果、安全とされる債券への依存度が高まり、ポートフォリオが硬直化していると指摘する声もあるのだ。
さらに、リーマン・ショック後に導入された国際金融規制「バーゼルIII」も重荷である。バーゼル規制では金融機関に8%以上の自己資本比率を義務付け、国内重要行(D-SIBs)の農林中金には追加で最大1%が求められる。
債券は市場金利が上昇すると価格が下落するため、金利が上がると時価評価で含み損が発生する。
規制上、自己資本比率を維持するためには損失覚悟で売却するしかない状況もあり得るのだ。通常、債券は満期まで保有していればいくら市場での額面が下がっても額面で償還されるため、損失のリスクは低い。
しかし、そこに国際金融規制や独自のリスク管理規定によって満期を迎える前に損切りしなければならない場合、そのような「債券投資のセーフティネット」は作動しないのだ。
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