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迷走するトランプ関税 自動車業界で得をするのは誰なのか:高根英幸 「クルマのミライ」(1/5 ページ)
米トランプ政権の関税政策が世界を振り回している。自動車業界への影響も大きいが、日本メーカーは過去の貿易摩擦問題によって、すでに海外における現地生産が進んでいる状況だ。目まぐるしく方針が変わる関税政策に対して、どのように交渉していくのか。
高根英幸 「クルマのミライ」:
自動車業界は電動化やカーボンニュートラル、新技術の進化、消費者ニーズの変化など、さまざまな課題に直面している。変化が激しい環境の中で、求められる戦略は何か。未来を切り開くには、どうすればいいのか。本連載では、自動車業界の未来を多角的に分析・解説していく。
米大統領にドナルド・トランプ氏が返り咲いて、早速各方面に存在感を放っている。ウクライナとロシアの戦争では停戦交渉を仲介し、WHO(世界保健機関)からは脱退を表明。気候変動問題の国際的な枠組みであるパリ協定から離脱する大統領令にも署名した。
一方、ウクライナにはレアメタルなどの資源の優先提供を要求するなど、したたかな交渉ぶりも見せている。
また、米国の貪欲な市場には世界中から商品が持ち込まれている。貿易の不均衡が起きていることを問題視しているトランプ大統領は、海外製品の関税を引き上げることを宣言した。
これにより、多くの国が対応を迫られる事態となっている。中国のように報復関税を即座に表明した国もあれば、欧州各国のように検討段階の国もあり、その対応は分かれるところだ。
トランプ大統領は「相互関税(お互いに関税を課す)」という表現を用いて、あたかも対等であるような印象を与えようとしている。だが、中国とは貿易戦争を起こすのに十分なきっかけとなるだろう。
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