2015年7月27日以前の記事
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自動運転は「レベル2」で十分である理由 完全自動運転も“完璧”ではない高根英幸 「クルマのミライ」(2/5 ページ)

中国メーカーの高性能EVで自動運転システムによる死亡事故が発生するなど、高度なシステムでも故障や事故は起こり得る。乗用車であればレベル2の運転支援システムで十分便利だ。ドライバーが運転を管理する方が、安全で確実なシステムになるだろう。

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完全自動運転も完璧ではない

 「これはレベル3の自動運転だから起きた事故で、レベル4以上の完全自動運転なら起きない。だから、レベル4の自動運転を早く普及させるべきだ」。そう考える方も一定数存在するだろう。

 その考えは分からなくもないが、残念ながら、レベル4やレベル5の自動運転でも、交通事故や車両故障がなくならないことに気付く段階に来ている。自動運転は高度なシステムが完全に動作している時にだけ実現するからだ。

 システムが複雑になるほど、障害が出る可能性は高まる。ましてや通信によって情報をやりとりする時代だ。情報量が増えるほど通信障害のリスクは高まる。


中国の自動運転タクシー。米国や中国の一部地域ではすでに無人の自動運転タクシーが運用されている。先進技術の開発においてリスクよりスピードを優先させる傾向が強い両国だが、利用者はそうした背景を十分に理解して乗車しているのか(写真:Tada Images - stock.adobe.com)

 PCやスマホの動作が安定せず、再起動したり、ソフトウェアをアップデートしたりするのと同じように、自動運転もソフトウェアの不具合は発生する。さらにハードウェアについても、電子部品や機械はいつか壊れる。

 その際、スマホやPCであれば、保証期間が過ぎていれば多くのユーザーがすぐに買い替えを決断するだろうが、クルマとなるとそうはいかない。修理するか、買い替えるなら現在乗っている車を買い取ってもらうか下取りに出すかといったように、選択肢が複数ある。

 さらに、使用中の故障や事故となれば、スマホやPCなら使うのをやめれば済むが、走行中の自動運転車が壊れれば、重大な危険につながる可能性がある。

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