ルール自体が合理性に欠ける場合は?
例えば、次のようなケースを見てみましょう。
- 社長の考えや趣味で、合理的な根拠もなく、業務中の飲み物を水かお茶に限定した
- 衛生管理が求められる場所とそれ以外の場所を区別することなく、後者であっても特段の理由なく、一律業務中の飲み物を水かお茶に限定した
こうした場合、ルール自体が業務上の必要性や合理性に欠け、許されない可能性があります。そうであれば、カフェオレやスポーツドリンクを持ち込んだ従業員を注意することもまた、不適切ということになります。
会社によっては、勤務時間中のコーヒー休憩を認めたくないために、飲み物の種類を制限したいところもあるかもしれません。従業員の中からも「勤務時間中のコーヒー休憩、タバコ休憩はずるい」などという声が上がることもあり得ます。
しかし一般に、コーヒー休憩やタバコ休憩はトイレ休憩と同様に短時間であり、特段の事情がない限り職務専念義務(就業時間中、使用者の指揮命令下で職務に専念する義務)に違反したとはいえません。常識的な範囲での適度な休憩は、業務の効率を上げる効果もあり、不当に制限をかけるべきではないでしょう。
また、会社には従業員の健康や安全に配慮する義務(安全配慮義務)があるため、例えば、勤務時間中に飲み物を飲むこと自体を制限したり、個々の従業員の体調に配慮せず、飲食のタイミングや内容を一律に制限した結果、熱中症など体調不良になる従業員が出てくると、会社が損害賠償責任を負うこともあり得ます。
業務の内容や職場環境によっては、勤務中の水分補給を制限せざるを得ないことも考えられますが、その場合には、シフトを工夫し、休憩時間を適度にはさめるようにするなど、従業員の健康への配慮も忘れないようにしましょう。
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