“香水砂漠”日本で香りが花開く? 2年で1.9倍に膨らむ市場の秘密(2/5 ページ)
「香水・オーデコロン市場」が、2年で約1.9倍に急拡大している。中でも注目度が上昇しているのが少量生産の個性的な「ニッチフレグランス」で、ニッチフレグランス専門店「NOSE SHOP」では、前年比30%増のペースで売上高が伸びている。なぜ1本数万円のニッチな香水が売れているのか。
香水が売れない日本で、なぜ「香水専門店」なのか
新卒で国税局に入局後、アパレルのベンチャー企業で代表を務めた経歴を持つ中森社長は、2011年にBIOTOPE社(ビオトープ、現ノーズショップ社)を創業し、コスメ領域の事業を経て、2017年にノーズショップを開業した。
香水市場がそれほど盛り上がっていないなか、なぜ「ニッチフレグランス」を専門的に扱うことにしたのか。
「欧州では、インターネットによる情報革命と物流革命の影響で、2000年代からニッチフレグランスのムーブメントが始まりました。開業当時、そのムーブメントは日本に全く届いておらず、欧州のマーケターには『日本はラグジュアリーブランドの香水さえも売れない”香水砂漠”』だと評価されていました。そこで、当社が先導してニッチフレグランスを広めていけたらおもしろいなと思ったんです」
ニッチフレグランスは独創的な世界観を重視し、中森社長いわく、「対象となる人を極小に定めたようなつくり方をしている」そうだ。
大規模生産の香水では使えないような贅沢(ぜいたく)な天然香料を使っていたり、あえてトレンドの天然香料ではなく合成香料を軸に据えたり、業界の常識を打ち破るような制作スタイルを採用したり。ボトルデザインにも細部までこだわり、オブジェのような見栄えの商品もある。
世界ではニッチフレグランスのブランドが5000を軽く超え、計測不能なほど拡大しているという。同市場が最も盛り上がっているのがイタリアで、ミラノでは世界最大級のニッチフレグランスの展示会「Esxence(エクサンス)」 が毎年開催されている。
ノーズショップで扱うニッチフレグランスは約80ブランド、約2500種類にのぼる。平均単価は3万〜4万円と高額だ。日本で香水文化を広げ、定着させることを目標に据え、ニッチフレグランスをまとめて提案・販売することで、ムーブメントにつなげたい考えだ。
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