“香水砂漠”日本で香りが花開く? 2年で1.9倍に膨らむ市場の秘密(4/5 ページ)
「香水・オーデコロン市場」が、2年で約1.9倍に急拡大している。中でも注目度が上昇しているのが少量生産の個性的な「ニッチフレグランス」で、ニッチフレグランス専門店「NOSE SHOP」では、前年比30%増のペースで売上高が伸びている。なぜ1本数万円のニッチな香水が売れているのか。
「人とカブらない」のが魅力
ノーズショップは前年比30%増の安定的な成長を目指しており、売上高は2022年が36%増、23年が34%増、24年が30%増(見込み)で推移している。20代女性が主な客層で、客単価は2万円弱にのぼる。
「一番の購入動機は、『他の人とカブらない』こと。自分しか付けていない唯一無二である点に価値を感じる方が多いですね。選ぶ基準は『香りの好み』だけでなく、『ボトルデザイン』や『ブランドストーリーへの共感』なども重要視されます。オブジェのような感覚で購入する方もいます」
特に人気のあるブランドや商品を聞くと、 最近は世界的に注目されている「4つの香りのカテゴリー」が支持されているという。
その1つが、“溶けるようなアンバーの香り”を意味する「モルテンアンバー」。甘く深みのある香りがアンバーの特徴で、重厚感のある香りよりソフトなアンバー調が人気を伸ばしているという。
やわらかく心地いい昔ながらのムスクの香りを指す「ノスタルジックムスク」、抹茶やセサミなどアジアの菓子からインスピレーションを得た「ニューグルマン/ネオグルマン」、森の地面を連想させる「イン ザ ボスケージ」も注目株。中でも、ノスタルジックムスクに分類される「Nomenclature(ノーメンクレイチャー)」というブランドの「アデレット」は、2024年に日本初上陸後、一気に販売数が伸びたという。
とはいえ、「1本数万円の商品を気軽に買えない」「種類が多すぎて選べない」という人もいる。そうした香水初心者を呼び込む施策として効果を発揮したのが、2018年に開始した「香水ガチャ」だ。
約1〜2ミリリットルのミニ香水を、1回500円のワンコインで提供し、自身では選ばないような香りに出会えるとして幅広い層から支持を集めている。現在は900円に値上げしているが、累計販売数は54万個を超える(2024年11月末時点)。利用をきっかけに香りの好みの幅が広がったという声もある。
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