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最高水準金利は“もろ刃の剣” 松井証券が迎える次の試練(2/4 ページ)

松井証券の「MATSUI Bank」が業界最高金利0.41%で注目を集めている。独立系ならではの戦略で急成長を遂げる一方、その裏には高金利ゆえのリスクも――。この“諸刃の剣”に、松井はどう挑むのか。

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BaaSと「銀行先行」戦略

 MATSUI Bankを技術的に支えているのが、住信SBIネット銀行のBaaS(Banking as a Service)プラットフォームだ。銀行機能をシステムとして他社に提供する仕組みで、松井証券のような独立系でも銀行サービスを提供できる。


MATSUI Bankの実態は住信SBIネット銀行の「松井支店」だ。UI/UXやスマホでATMからお金が降ろせる機能など、住信SBIネット銀行の機能が丸々利用できるフルバンキングサービスとなっている

 松井証券が描くのは「銀行先行」戦略である。「銀行って必ず使うじゃないですか。ネット銀行の比較で金利を見ていて『この銀行すごい高いな』というところで、まずMATSUI Bankを知ってもらえたら」と渡瀬氏は説明する。

 証券取引は「特に若い人たちだと生活になじみがない」一方で、銀行は生活に不可欠だ。まず銀行で松井証券を知ってもらい、金融リテラシーが向上した段階で証券取引に誘導する長期的視点を取っている。

 実績も出ている。新規で証券口座を開設する顧客の半数以上が銀行口座も同時に開設しており、松井証券の年間新規口座獲得数約10万口座のうち、年間5万口座程度がMATSUI Bankとのセット開設となっている。

 資金の流れも設計通りに機能している。「証券口座から銀行口座への出金額よりも銀行口座から証券口座への入金額の方が多く、銀行口座の残高は全てニューマネーとして獲得できている」。つまり、MATSUI Bankは既存の資金を移し替えただけでなく、新たな資金流入を生み出している。

 実際、4月上旬の日経平均株価急落時には「国内株スイープ入金額が増えた」という。株価下落を買い場と捉えた投資家が、銀行口座の待機資金を証券取引に活用したのである。

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