お手軽バーナー「あぶり師」がじわ売れ 縮む市場で“小さな火”が広がった、意外な理由:週末に「へえ」な話(2/4 ページ)
焼き目を手軽につけられる家庭用バーナー「あぶり師」が静かなヒットを記録している。売れ筋商品とは言いがたいジャンルで、なぜ販売に成功したのか。その意外な理由に迫る。
販売面で予想外の課題
ガスバーナー以外に、方法はないのか。廣田さんは気になって調べてみると、葉巻に火をつけるライターを使っている人がいた。しかし、直線的に火を出す仕組みなので、点でしかあぶれない。
こうした状況を受けて、廣田さんは「使い勝手がよくて、まんべんなくあぶる商品を開発できないか」と考えた。葉巻用ライターの場合、炎の直径は5〜6ミリ。面であぶるには細すぎるので、あぶり師では炎の直径を9ミリほどに拡大した。また、炎が届く距離は5〜6センチだったので、それを2〜3センチに短くし、キッチンでもあぶりやすいように設計した。
あぶり師を開発するにあたって、どのような苦労があったのか。「技術的な部分は、これまで蓄積してきたライターのノウハウが生きました。開発期間は3〜4カ月ほどですね」(廣田さん)
アイデアさえあれば、あとは知見があるので、あっという間に完成。店頭に並べると、冒頭で紹介したように「売れに売れている」ので、順風満帆と思われたかもしれないが、実はそうでもない。開発にはそれほど苦労はなかったものの、販売面で予想外の課題が生じ、なかなか前に進めなかったのだ。
そもそもライターはどこで売っているのか。スーパー、コンビニ、ドラッグストア、ホームセンターなどで目にすることが多いが、どの棚に並んでいるのか。「そりゃあ、タバコ売り場でしょ。レジの近くでも、よく目にするよ」「アウトドア用品の近くにもあったぞ」といった声が飛んできそうだが、その通りである。しかし、あぶり師を販売するにあたって、そこがネックになったのだ。
ライテックは長年、ライターを開発してきた。ということもあって、売り場の人たちも「ライテックさんの新商品ね。ライターの隣に置いておけばいいでしょ」といった具合に、これまで通りの対応だったのだ。
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