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人を増やしても、生産性は上がらない 「1+1=3」にするチームの作り方(1/3 ページ)

確かに、事業を成長させるには適切な人材が不可欠。一方でこんな話も聞きませんか? 「急に人や拠点を増やした結果、組織がうまく回らなくなってしまった」――。

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 こんにちは。グッドパッチでデザインストラテジスト兼ワークショップデザイナーとして活動している田中拓也です。私は仕事上、さまざまな企業の組織課題を目にしますが、突き詰めると悩むポイント(本質)は似ていることが多く、解決の糸口も共通するものになってきます。そこで「組織デザイン」のポイントを解説していくことにしました。今回は「生産性」について取り上げます。

 人やリソースが足りていることがむしろ珍しい昨今、「時間が足りない!」「役割や人手が不足している!」などの悲鳴を上げたくなる人も少なくないはず。「人を増やそう!」「予算もつけよう!」と採用活動に精を出すのが、一般的でよくある光景だと思います。

 確かに、事業を成長させるには適切な人材が不可欠。一方でこんな話も聞きませんか? 「急に人や拠点を増やした結果、組織がうまく回らなくなってしまった」――。

 人を一気に増やして、組織をスムーズに機能させ、事業を成長させる。そんな理想のシナリオを描いた企業を私は見たことがありません。逆に何かしらかの歪みが生じ、メンバーが疲弊してしまうケースがよく見られます。

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提供:ゲッティイメージズ

人は増やしたのに……1+1+1=3にならないワケ

 もちろん経営者や人事、事業部の上司たちは、むやみにメンバーを増やすことは当然ないと考えるでしょう。必要性に基づいて増員することが肝要です。しかし、現実には人を増やしても、作業スピードが上がらないというジレンマに陥る現場は多いです。

 人を増やしたのに、一向に仕事が終わる気配はない。それどころか状況が悪化している。1+1+1=3、またはそれ以上の成果を期待しているのに、生産性が3を下回ってしまっているというわけです。

 最悪の場合、仕事がうまく進まないことで、現場からは新メンバーに「事業へのコミットメントが低い」との非難が出ることも。こうした“不幸な”アンマッチすら起こりかねません。なぜ、こんなことが起きてしまうのでしょうか。

 「働きアリの法則」などが有名ですが、組織全体の人数が増えることで起こりがちな課題として、仕事を手抜きする人が出てきたり(もちろん良い手抜きもあるかもですが)、コミュニケーションコストが上昇したりして、生産性が落ちやすくなります。

 こんな例もあります。「重いテーブルをある場所に運んでほしい」とメンバーに頼みたいあなた。まずは2人のメンバーに依頼しました。そのとき運ぶ2人は、しっかりと力を込めて協力します。

 あなたはそこで「人が増えれば、もっと楽になるのでは」と運ぶ人数を増やすことにしました。しかし、3人、4人、5人とメンバーが増えるにつれ、楽になるどころか負荷が均等でなくなり、誰かが力を入れないと進まないという現象が生じ始めます。

 メンバーの頭の中で「誰かが持ってくれるだろう」という期待が広がり、全力を尽くしてくれなくなったためです。社会心理学の観点から見ると、人が増えるほど、一人あたりの仕事量が減少してしまう「リンゲルマン効果」と呼ばれています。この効果が、生産性向上を期待しての増員に対する課題となっているのです。

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リンゲルマン効果(グッドパッチ提供、以下同)

 こうした研究結果からも分かるように、何の対策もなしに人を増やしても、生産性が上がるどころか、かえってメンバーそれぞれのやる気やマインドが減衰してしまうというわけです。

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