コラム
サイゼの「300円ドリア」はいつまで続く? “デフレの申し子”が直面する試練と選択(3/7 ページ)
外食チェーンが次々と値上げに踏み切る中、サイゼリヤは低価格路線を堅持しています。しかし、原材料費や人件費の高騰により、国内の利益率は低下。安さを維持する戦略に限界はあるのでしょうか。
オペレーション改善によるコスト削減
サイゼリヤのコスト削減は、調達にとどまりません。店舗での調理工程も徹底的に効率化されています。
象徴的なのは、「厨房に包丁がない」という事実です。サイゼリヤでは、工場で下処理された食材を店舗で加熱・盛り付けするだけで料理が完成する仕組みを導入しています。誰が作っても均一な品質と味が提供できるように設計されており、調理スキルに依存しない体制を整えることで、人材育成コストの削減にもつながっています。
このような“工場化”を支えるのが、同社独自の「科学的経営」です。例えば厨房の設計では、どの位置に誰が立ち、どのタイミングで何をすれば最も早く料理が提供できるかを細かく検証。サラダ1つとっても、オーダーから提供までの時間を短縮できるよう、調理場の動線やレイアウトを科学的に分析し、日々改善を重ねています。
また、千葉や福島には契約農場を持ち、例えばレタスであれば、1株から何枚の葉が取れるか、そこから何人前のサラダが作れるかまで計算しています。このように、いかに効率良く提供できるかを研究することで、提供スピードとコストの最適化を同時に実現しているのです。
こうした一連の取り組みにより、サイゼリヤは全国どの店舗でも、品質のブレがなく、スピーディーに料理を提供できる体制を築きました。創業期から続く調達・製造・提供の一貫した効率化こそが、同社が長きにわたって「低価格でおいしい」を実現してきた原動力であると言えるでしょう。
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